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21話 及川side ページ23

及川side


彼女が泣いていた。

理由は知らない。
ぇぐぇぐ、と嗚咽を漏らしているその女は可憐で、それでいて美しかった。

ダメなことだと分かっているけど欲が出てくる。
俺の手で彼女を泣かせてみたいと、

そう、思った。

彼女がそれを望まないことも
自分を好きにならないことも、
分かっていたのに。


────
──



彼女、真白桃と出会ったのはもう随分と昔、中学校に入学したばかりのことだった。

桃はいじめられていた。
と言っても暴力とか物をズタボロに、とかではなく、ただひたすらに無視をされるというもの。

それは学年に知れ渡っていた。
だけどみんな面倒くさがり、見て見ぬふりをしていた。

それは俺も同じで、バレーのことで忙しかったし、気にも止めていなかった。



そう、多分変わったのはあの日だ

彼女に初めてあった日
桃は泣いていた、それも号泣。

周りのことなんか気にせず、大声で泣いていた

いつの間にかいじめがエスカレートしていたのだろう、聞いた噂よりもだいぶ進んでいた

無視だけが、悪口へ、そして悪口を本人の前で言う激しい罵倒へ、酷い罵倒が最後には暴力になっていた。

桃には無数のあざがあり、それは緑色や、紫、赤色などの痛々しいあざで──


思わず駆け寄るといじめていた奴らがわらわらと群がって逃げていった。

それでも彼女は泣き止まない。
心に深い傷を負っているようだった



その泣き顔が、泣き声が、手で顔を覆うような仕草が、全て美しく見え、自分でも驚いたのを覚えている。

彼女の、桃の泣き顔だけだった。
こんな気持ちになったのは、




だから尚更
あの子、桃ではないあの後輩。

別に好きではなかったし、むしろ桃の周りにいる、また桃をいじめるかもしれない女だと認識していた。


体に電流が走ったようだった。


驚きを凌駕していた。

その女の泣き顔は酷く美しく、また儚い魅力を纏っていた。


ポロポロと零れる雫はキラキラしていて、まるで宝石のよう


女はとても静かに泣いていた。


果たして、あれは泣いていたのか。
まるで彼女の思いを宝石に閉じ込め、それが溢れだしているように見えた。

そのぐらいに美しかったのだ。


言葉では言い表せない、
ただわかったのは、俺はその子のことを好きになったことだけだった。

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あお - こうゆう感じのヒロインちゃん好きです!w面白かったんで次の投稿待ってます! (2022年12月17日 21時) (レス) @page1 id: c241688681 (このIDを非表示/違反報告)
ななサマ - ドロドロ系新鮮で推せる。投稿待ってまーす!! (2022年10月10日 23時) (レス) @page20 id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
もんちゃん - やべー。ヒロインちゃんと名前似てるwwwww後から夢主ちゃんが好かれるタイプの小説大好きだわ (2022年10月9日 15時) (レス) @page2 id: 11775f8b13 (このIDを非表示/違反報告)
URAN - 及川さんが真前でキスしとるんやったら連写するわ。あと主様よこの小説面白すぎんか私大好きです!!これからも頑張ってください。 (2022年9月26日 4時) (レス) @page20 id: 38df0baeed (このIDを非表示/違反報告)
ニコリ - とっても面白くて、続きがたのしみです。 更新を楽しみに待ってます。 (2022年9月6日 22時) (レス) @page15 id: 84fc6c592a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ううさん x他2人 | 作成日時:2022年8月22日 23時

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