第陸話 ページ7
暫く歩くと街に着いた。
「ありがとう!もう此処からは一人で行けるよ」
善「ホントに大丈夫?」
「うん、大丈夫!またね!」
紅緒は手を振りながら善逸と別れた。下駄の鈴が鳴る。
善逸はいつまでも手を振ってくれていた。
「爺様!」
青「なんだ、紅緒か。いきなり飛び付くな。…友達とは遊べたのか?」
「うん!今日はね、蹴鞠にメンコでしょ、お手玉に歌留多で遊んだの。善逸くん結構強かったよ!」
青「好敵手までなったか。良かったな。ほれ、帰るぞ。明日はまた"呼吸"の練習じゃ」
呼吸の練習。
そう聞いた途端、紅緒がこの世の終わりとでも言うような顔をした。練習が嫌なのだろう。
「やだよ!遊べなくなっちゃうじゃん!やだやだやだやーだー!」
駄々をこねて青之進の袖を引っ張る。青之進はぐぐぐ…と紅緒を引き離すべく頭を鷲掴み、押し退けた。
青「何言っとるんじゃ!呼吸を熟せねば半鬼であるお前は喰われて死ぬか、頸を斬られて死ぬのじゃぞ!?それでもええんか!?」
青之進が怒鳴りつけると、紅緒はビクッと萎縮した。
確かにそうなのだ。
半鬼とはいえ、首枷を外さねば紅緒は"ただの人間"と変わらない。しかし、首枷を外せば鬼となるため、鬼殺隊に滅されてしまう。
故に首枷を外さなくても良いように、人間の状態のまま戦えるように呼吸を身につけねばならないのだ。
「分かってる…分かってるよ」
紅緒は俯くと弱々しく言葉を紡ぎ出した。青之進は紅緒を優しく抱き締める。
青「絵師になるとしても、体術だけでは心許ない。すまんな紅」
「ううん、大丈夫。紅頑張るよ。確かに使い熟せなかったら十二鬼月にあっという間に喰われちゃうもんね」
青「なら良い。ほれ、今日はお前の好物の蜜柑もあるからな」
「やった!煮詰めたのも作ってくれる?」
青「嗚呼、勿論じゃ。だから紅、練習を頑張るんじゃぞ」
「うん!」
二人は笑顔を浮かべて帰路に着いた。
☆ ☆ ☆
次の日。
「もうやだぁぁぁぁぁぁ!」←
青「いつまで膝をついている!鬼は待ってくれぬぞ!さあ呼吸で反撃してみせよ!」
「爺様もう無理だよ!!駄目、今呼吸使ったら間違いなく五臓六腑が爆ぜる!!」
青「このくらいで五臓六腑は爆ぜやせん!せいぜい吐血程度じゃ!」←
「それ爆ぜてんじゃん!?」←
紅緒がそう叫んだ途端、青之進が呼吸を使った。
色の呼吸、壱ノ型・紅花繚乱
紅緒が木に叩きつけられた。
「爺様の馬鹿ァーーーーーー!!!」←
前途多難である←
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キトラ - とても面白かったです。頑張ってください! (2019年8月16日 4時) (レス) id: 60abaaffa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年8月12日 23時