第四話 ページ5
ポッピンポッピン。
びいどろの可愛い音を鳴らしながら青之進と手を繋いで歩く。
「爺様爺様!あの染料、人気のやつじゃない!?」
青「そうじゃのう!紅、お金をあげるから代わりに買って来い」
掌に硬い硬貨を収めると、下駄を鳴らして染料の小瓶を手に取った。鮮やかな紅色だ。
「おじちゃん、これ頂戴!」
店「お!嬢ちゃん見る目あんな!…ん、嬢ちゃんお金が足りないよ、二銭足りない」
「え?どうしよう…爺様に貰ったお金、これしかない…」
財布は青之進が持っている。爺様は今頃紙屋に行ってしまっているだろう。どうしたものか。
ワタワタしていると、店の台にカラン、と二銭が置かれた。
ハッとして見上げる。
其処には炎のような髪色の、体格の良い青年が立っていた。
?「二銭くらいなら代わりに出そう店主殿!君、これで買えるか?」
「買えますけど…でも、出して頂くだなんて、そんな迷惑をかけること…」
?「構わん!君はこれが欲しいのだろう?大丈夫だ!」
「あ、ありがとうございます!いつか返します…あのう、お名前は?」
煉「俺は煉獄杏寿郎という!君は?」
煉獄杏寿朗と名乗った青年はハキハキした大声で話しかけた。紅緒はびくりと震えたが、慌てて似たような大声で答えた。
「紅緒!爺様が付けてくれたんだ!…ところで、煉獄さんは兵隊さんなの?」
紅緒は煉獄の姿に思ったことを口にした。確かに、帯刀、詰襟の隊服は兵隊にも見えるだろう。
煉獄はきょとんとした後、目を細めて紅緒を撫でた。
煉「みたいなものだ!だが、帯刀していたことは内緒にしてくれ!」
「わかった。あ、紅行かなきゃいけない所があるから…」
煉「そうか!ならここでお別れだな!ではな!」
煉獄は再び高らかに笑うと踵を返して雑踏の中へと消えて行った。
「…ホントは、鬼狩り様でしょうに」
紅緒はそう呟くと走り去った。
☆ ☆ ☆
煉「…よもや、あの少女」
紅緒と別れた後、煉獄はポツリと呟いた。
あの子の気配。
煉「人の気配の中に、微かに鬼の……気のせい、だな」
彼はそう割り切ると任務地へと足を運んだ。
☆ ☆ ☆
青之進に瓶を渡した後、紅緒は一目散に善逸の家に向かった。
「善逸ー!来たよー!」
善「あ、紅緒ちゃん!いらっしゃい!お菓子あるよ!」
「ホント!?食べるー!」
二人で縁側に座り、団子を食べる。
「今日はね、蹴鞠しようよ!」
善「うん!やろう!」
その時だった。
?「何してんだカス」
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キトラ - とても面白かったです。頑張ってください! (2019年8月16日 4時) (レス) id: 60abaaffa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年8月12日 23時