第三十六話 ページ41
騒ぎ出す善逸。
ギャアギャア叫びながら泣き出してしまった。
すると、キィ…と戸を開けて禰豆ちゃんが顔を出した。体の大きさを元に戻すと立ち上がり、拙に飛び付いた。拙も優しく抱き締める。
禰「うー♪」
「禰豆ちゃん!よかった無事で。ふふ、また別嬪さんになった!」
禰「うーうぅー♪」
禰豆ちゃんは嬉しげな声を上げた。炭治郎は微笑み、善逸は雷に打たれたかのような顔をしていた。
炭「禰豆子は俺の……」
善『炭治郎』
炭治郎が禰豆ちゃんの説明をしようとすると、突然善逸の低い声が聞こえた。
尚も善逸は絞り出すような声で言った。
善『お前………
いいご身分だな………!!!』←
怨嗟の声を響かせた善逸の顔は酷かった。
眼は血走り、口は悔しそうに歯が剥き出しになり、体はプルプルと震えている。
「(さてはまた勘違いしてるな…)」
拙の腕の中で楽しげに笑っている禰豆ちゃんを撫でながら呆れ返る。
彼、ホントに自分の欲求に素直だな……。
大声で叫ぶ善逸ときょとんとする炭治郎。
挙句、善逸は泣きながら抜刀すると、炭治郎に『粛清』だと叫び、見事な雷の模様が入った刀を向けた。
ごろんと寝転がっていた禰豆ちゃんを撫でる手を止め、仲裁に入る。流石に刃傷ごとは御法度だ。
拙が必死に宥め、禰豆ちゃんが炭治郎の妹だと知ると、行成静かになった。
伊之助は既に寝ていた←
刃傷ごとから十数分。伸ばした足の間に禰豆ちゃんを座らせ、談笑をし出す。
善「ごめん…そういえば、沙夜ちゃんはどこで暮らしてたの?」
「嗚呼、それね。拙は墓所で育ったよ」
善「ぼ、墓所!?」
「うん。墓守の一族でさ、生まれた時から遊び場は不謹慎かもしれないけど墓場だよ」
ひええ、と声を上げる善逸。
炭「確かに墓場だけど、沙夜の家の周りには矢車菊が沢山咲き乱れているんだ!」
善「あ、あの花とっても綺麗だよね!俺も好きだなぁ」
そして拙は本題を話し出した。
「……鬼殺隊に入ったのは、家族の仇を討つため」
善「えっ…?」
善逸が不安げな顔をする。
「拙が仕事に行った間、家族は鬼に殺された。あの光景は昨日のことのように覚えてる」
淡々と語る拙を善逸は泣き出しそうな顔で見ていた。炭治郎も深刻そうな顔で俯いていた。
善「ごめん、軽率に……」
「大丈夫だよ、泣かないで。な、なんかしんみりしちゃったな!あ、拙前に街で歌留多買ったんだけど、やらない?」
皆笑顔に戻る。
その日は、笑い声が夜遅くまで響いていた。
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文学少女(プロフ) - ありがとうございます!まだまだ至らない所があるかと思いますが、これからも宜しく御願いします! (2019年6月9日 21時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
鮭本 - コメント失礼します。とても読みやすくて面白いです!無理しない程度に更新頑張ってください!応援してます!! (2019年6月9日 20時) (レス) id: 17f131f64f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年6月4日 18時