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第三十四話 ページ39

結果的に協力任務は完了。

鎹烏がついて来いと言うので、四人で歩く。

が、歩き出したのはいいものの、指の激痛のせいで意識が朦朧としてきた。

必然的に千鳥足になる。

善「ッ、沙夜ちゃん!?」

「あ……先行っていいよ、後で……追いつ、く…か…ら…」

そう言った途端、全身の力が抜け、その場に倒れ込んでしまった。

炭「沙夜!なっ…この手!どうして我慢してたんだ!」

炭治郎が変形した拙の手を優しく包み込んで言った。怒気が含まれていて少し怖い。

「ごめん…心配させたく無くってさ…血は、もう止まってるし…」

炭「言わない方が心配する!!沙夜はいつも我慢ばかりだ」

すると、突然浮遊感に襲われる。

目の前には黄金色に輝くざんばら頭、黄色の羽織。

善「沙夜ちゃんは俺が背負うよ。だから安心して?俺、頼りないけどさ…目的地まで寝てていいよ!」

善逸は人懐こい笑顔を向けた後、歩き出した。

「で、でも善逸!君も疲れてるでしょう?ちゃんと歩くから、だから……」

善「駄目だよ!炭治郎だって言ってたでしょ、我慢しちゃ駄目って」

だからゆっくりして?と善逸は背負い直して前を歩く炭治郎と伊之助の元に歩み寄った。


温かい。

とくん、とくんと優しい心の臓の音が聞こえる。

安心するなあ…

彼の背は、見かけによらずがっしりとしていて、とても安心感がある。



『父上〜転んだぁぁ!痛いよお〜!』

『全く、沙夜は泣き虫だなぁ。ほら、負ぶってあげるから』



そういえば、父上はよく駄々をこねた私を背負って家に帰ってくれた。

あの時、父上はよく歌を唄ってくれたっけ。




『やだ!父上なんか知らない!』

『拗ねるな拗ねるな。沙夜、仲直りしよう。それから、家に帰って、皆で楽しく話そう』

『…負んぶして?』

『勿論だとも。さあ、沙夜、帰ろう。歌を唄って帰ろう』



父上の背中は大きくて、温かかった。

視界がじわ、と滲む。

頰を温かい涙が伝った。

思わず善逸の背に顔をすり寄せる。


善「ふぁっ!?さ、沙夜ちゃん…!?ど、どうしたのッ!?あ、やだった?だよね俺なんかに背負われるとか気持ち悪いよね!?」

慌てた声を上げる善逸。

だけど、拙は違った。

違う。

違うんだよ善逸。


嬉しくて。


懐かしくて。


温かくて。


それでいて、とっても寂しいんだ。


何でだろう?

答えが出ない。


だけど、今は分からなくていいと思うんだ。

もう少し、温もりを感じてもいいよね?

拙の意識は穏やかに落ちた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 我妻善逸   
作品ジャンル:アニメ
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文学少女(プロフ) - ありがとうございます!まだまだ至らない所があるかと思いますが、これからも宜しく御願いします! (2019年6月9日 21時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
鮭本 - コメント失礼します。とても読みやすくて面白いです!無理しない程度に更新頑張ってください!応援してます!! (2019年6月9日 20時) (レス) id: 17f131f64f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年6月4日 18時

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