第十一話 ページ14
眼が覚めると、目の前に少女がいた。
あの宍色の髪の少年とまた少し違った意匠の狐面を付けていた。
毛先は少しボサボサな黒髪に花柄の可愛らしい着物。まつ毛は長く、顔立ちは端正で優しげな感じだった。
炭治郎は先に起きていたらしく、その女の子と話していた(ある意味で一方的だが)。
女の子は真菰というらしい。なんだか名前も可愛い。
ちなみに、あの宍色の髪の少年は錆兎というらしい。
……名は体を表すというが、たしかにあの少年は兎みたいにすばしこかった。
真菰は拙たちの悪いところ、癖、無駄な動きに対して的確な助言と指導を施してくれた。彼女は観察眼、洞察力、分析力が高いようだ。
ちなみになぜ助けてくれるのかは話してくれない。
真「私たち鱗滝さんが大好きなんだ」
それが真菰の口癖。また、真菰と錆兎は兄弟ではなく、孤児だったところを鱗滝さんに育てられたそうだ。
真「子供たちは他にもまだいるんだよ。いつも炭治郎と沙夜を見てるよ」
炭治郎は不思議なことを言う子だと言う。だが、拙にはそれが分かる。
だって、周りを見れば狐面の子たちが拙たちを見ているからだ。御霊だから、炭治郎には見えないのだろう。
真菰には全集中の呼吸を教えてもらった。炭治郎は微妙な顔をして矜羯羅がっていたけど、拙はなんとなく分かった。
まぁ、炭治郎も飲み込みと理解力、コツなどをしっかりと覚えるのには長けていそうだから、そのうち案外けろっと熟してしまうかもしれない。
真「死ぬほど鍛える。結局それ以外にできることないと思うよ」
ある意味初心忘るべからず。
それから毎日、鱗滝さんに稽古してもらった以上に鍛錬に勤しんだ。
文字通り血を吐くような、内臓や腕が千切れそうなほど、刀を振るった。
それでも錆兎には勝てなかった。
半年経つまでは。
その日、拙たちが挑みに行くと錆兎は、真剣を持っていた。
錆「半年でやっと、男の顔、凛々しい顔になったな」
炭「今日こそ勝つ」
長い髪になった炭治郎が言い放つ。
「今日こそ超える」
刀を構える。
真正面からの勝負は単純。より強く、より早い方が勝つ。
一瞬で勝負は決まった。
この日、この瞬間初めて、炭治郎と拙の刃が錆兎に届いた。
炭治郎と拙が勝った時、錆兎は笑った。
泣きそうな、嬉しそうな、安心したような笑顔だった。
真「……勝ってね炭治郎、沙夜。"アイツ"にも」
気付くと錆兎たちは消えていて、
面を斬った筈の拙たちの刀は、
岩を斬っていた。
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文学少女(プロフ) - ありがとうございます!まだまだ至らない所があるかと思いますが、これからも宜しく御願いします! (2019年6月9日 21時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
鮭本 - コメント失礼します。とても読みやすくて面白いです!無理しない程度に更新頑張ってください!応援してます!! (2019年6月9日 20時) (レス) id: 17f131f64f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年6月4日 18時