八尺様 5 ページ7
お風呂から出るとお気に入りの着流しに着替える。そのままペタペタと音を立てて叔父さんの居る部屋に行く。
中を覗くと叔父さんが針と糸で何かしている。手芸だというのはわかるのだが…
『叔父さん、何をしているんですか?』
声を掛けると叔父さんは慌てて縫っていた物を隠す。
叔『わぁぁ⁈だ、駄目だよ まだ完成して無いんだから!』
サプライズがぁぁぁ…と嘆く叔父さん。隠しきれていない布の色から此れはーー…
『巫女服?』
絹で出来た紅と白の服、私達の家業でもある神職から考えると分かる。
叔『あぅ…、うん。藤ちゃんさ、前巫女服が駄目になっちゃったでしょ?だから……いつも頑張っているご褒美にと思って』
叔父さんはそう言ってふにゃりと笑う。可愛い。
『でもこの縫い方、普通の巫女服じゃ無いですね。この縫い方は…神楽舞の?』
裾や模様縫いが独特のものだ。私の家は元々神様に仕える巫女や僧、陰陽師、神官などを多く輩出している大規模な祓魔一族なのである。
他にもこういった一族は居る。私達『白虎一族』は東を統治している。
因みに西は『青龍』、南は『朱雀』、北は『玄武』とそれぞれ統治している。
一族は見分ける為に自らの服や装飾品にその一族特有の模様やちょっとした仕掛けなどを拵えている。
私の巫女服には銀糸で細かく水仙の花が刺繍されて居る。私の一族は女性は『水仙の花』、男性は『陰と陽を意味する模様と鬼灯』を縫い付ける。
叔父さんの着物の袖にも男性用の模様が刺繍されている。
叔『今やってる刺繍はね、御守りにもなる強い力の縫い方なんだ。出来たらすぐに上げるね。打ち掛けほど着るのも大変じゃ無いから。……あ、もう11時だ、そろそろ寝なさい』
叔父さんは優しく頭を撫でてから手芸道具を仕舞った。
私はお休みを言うと自室で眠りに就いた。
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大阪 - 更新ない…(泣) (2019年2月3日 14時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 更新きたー♪ (2018年7月25日 13時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
かな - いいですね!それ! (2018年6月7日 21時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
山吹桜 - 太宰さんでガシャドクロ、谷崎君でくねくね又はけてけてが見たいです。 (2018年6月3日 21時) (レス) id: 6d19b82d66 (このIDを非表示/違反報告)
文学少女(プロフ) - ありがとうございます!今は忙しくて更新出来ませんが落ち着いたら一気に書きます! (2018年5月18日 20時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2018年4月21日 16時