中原中也と座敷童子 参 ページ39
中也はアイスを食べ終えると早速作業に取り掛かった。家の端っこから順に結界を張っていく。
壁に貼った護符は焼印の様に壁に付いた。
この作業を続け、最後に玄関のドアに護符を貼った。
そして自分の荷物がある部屋に戻る。
案の定その部屋には女の子が立っていた。
中『(やっぱりな)』
この暑い中、着物にちゃんちゃんこは流石におかしい。ならこの女の子は妖だ。
その過程を元に中也は結界を張り、逃げ道を順に潰していったのだ。
しかし捕まえないといけない。そこで必然的に逃げ込む用にこの部屋には結界を張らなかった。
女の子は外に出ようとするが、障子を少し開けては怖がる様にパタパタ部屋に戻ってくる。
中也は女の子に近付いた。
女の子はハッとした表情をするが、積まれた座布団に隠れてしまう。
中『逃げんな逃げんな。何もしねェよ。ただ、俺の腹踏んづけたこと謝って欲しいだけだ』
中也は女の子に優しく話し掛ける。女の子は恐る恐る顔を覗かせた。
中『俺は中原中也だ。手前ェ、なんて名前だ?』
座『………名前。わたしは座敷童子。そう呼ばれてるよ』
『ほォ、座敷童子ね……』
座敷童子。
古い家に憑いていて、幼い子供と遊び面倒を見たり、経済的に豊かにしてくれたりする善い神だ。姿形は少女だったり少年だったりする。
座『ご、ごめんねお兄ちゃん。お腹…痛かったよね』
そう言って座敷童子は中也の腹をさする。
中『ん?もう痛くねェから安心しろ。ところで何で俺にちょっかい出したんだ?』
座『…あのね、藤乃お姉ちゃん、最近わたしと遊んでくれないの。きっとわたしが見えてないんだわ』
目を瞑って、見ない様にしちゃっているから、と座敷童子は悲しそうに言う。
座『だから最近遊びに来るお兄ちゃんが羨ましかったの。お姉ちゃんと遊べるから』
そう言うと座敷童子はつまらなそうにそっぽを向く。
神霊に近いものとは思えないくらい、動作がいちいち子供らしい。頭に付いた紅く大きい牡丹の花が何処か萎びて見えた。
中『……じゃあ、俺が遊んでやろうか?』
座『え?』
中『今は八坂達は居ねェからよ、俺が代わりに遊んでやろうかって言ってンだよ』
中也はそう言うと恥ずかしそうに頰をかく。座敷童子は満面の笑みを浮かべると中也の手を取り嬉しそうにキャッキャッと笑った。
座『じゃあねじゃあね!最初は歌留多!歌留多をしましょ!』
中『おう、良いぞ。言っとくが、俺は強ェぞ?』
中也と座敷童子の笑い声が八坂邸に響いた。
61人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大阪 - 更新ない…(泣) (2019年2月3日 14時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 更新きたー♪ (2018年7月25日 13時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
かな - いいですね!それ! (2018年6月7日 21時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
山吹桜 - 太宰さんでガシャドクロ、谷崎君でくねくね又はけてけてが見たいです。 (2018年6月3日 21時) (レス) id: 6d19b82d66 (このIDを非表示/違反報告)
文学少女(プロフ) - ありがとうございます!今は忙しくて更新出来ませんが落ち着いたら一気に書きます! (2018年5月18日 20時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:文学少女 | 作成日時:2018年4月21日 16時