妖捕物帳 1 八尺様 ページ15
八尺様が霧散し、消滅する。
私達は息切れをしながらも其の光景を見つめて居た。中原くんは私を抱える腕に力を込める。私は中原くんの腕を掴む手に力を込める。
そして八尺様の残滓は跡形も無く消え去った。其れは私達の勝利を示して居た。八尺様の居た所には無残に砕かれたガラスが広がり、夜風が静かに吹いて居た。
翌日
八尺様討伐後、中原くんは身内である紅葉先生と帰っていった。
ボロボロの私を見てあの後叔父さんは泣き乍ら私と中原くんを抱き締めてくれた。
私は右頰に湿布とガーゼを貼り、中原くんは鬱血してしまった左手を叔父さんが霊障を取り除いてから与謝野先生に治療して貰った。
助けられた、この事実は私の胸に暖かさを抱かせた。でも一番良かったのは
ーー中原くんと『友達』になれたこと。
彼と傷だらけのお互いを見て笑った。(其れを見た紅葉先生が中也の嫁にするかと言った時にはお互いベッドから転げ落ちるぐらい慌てた)←
ちなみに太宰くんは勝手に咒に細工をした事で私達からこってり絞られた。(其れを見て中原くんが大爆笑して太宰くんの目から光が消えたのは言うまでも無い)←
叔父さんが終始ニコニコしてたのが地味に怖かった。
そして私は今、教師に居る。
古び燻んだ通草色(あけびいろ)の本に倒した八尺様の項目を書き綴っていく。
大変だった対処法や感想などを想い想いに書いて居ると
中『項目一、八尺様かァ。自分で纏めてんのか?』
『うぴゃあああああああああああ⁈』
慌てて本を隠す。中原くんはカラカラ笑うと少しキザな顔をして、
中『今日さ姐さん帰ってこねぇんだよ。八坂ん家行っても良いか?』
と言った。私は顔がにやけるのが分かる。そしてにっこり笑って言った。
『良いですよ!』
そう言って本を鞄に仕舞い中原くんの近くに寄る。中原くんは嬉しそうに笑うとバッグを背負い直し、ドアを開け振り向き乍ら言った。
中『一緒に帰ろうぜ、八坂』
私は強く頷くと彼と一緒に歩き出す。
廊下は夕日で紅く染まっている。
響く足音さえも、私には素敵な音に聞こえる。
私と貴方。
色褪せない妖捕物帳が、此処から始まろうとして居た。
61人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大阪 - 更新ない…(泣) (2019年2月3日 14時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 更新きたー♪ (2018年7月25日 13時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
かな - いいですね!それ! (2018年6月7日 21時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
山吹桜 - 太宰さんでガシャドクロ、谷崎君でくねくね又はけてけてが見たいです。 (2018年6月3日 21時) (レス) id: 6d19b82d66 (このIDを非表示/違反報告)
文学少女(プロフ) - ありがとうございます!今は忙しくて更新出来ませんが落ち着いたら一気に書きます! (2018年5月18日 20時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:文学少女 | 作成日時:2018年4月21日 16時