運命視と黒傘【第五人格】 (ページ6)

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第五話ページ6

「お兄さん……ね、私起きたよ？起きてよ～、ココどこ？」

小さい声で呟きながら男の肩を揺する。男は「ん…」と声を漏らし、目を覚ます。

？「…目が覚めたか」

低い声だが、何処か凛とした声にも聞こえる。
よくよく見てみると彼は中々顔が整っていた。東洋人なのか、顔立ちは見ないタイプだった。

？「頭に支障は無いか？」

先程の猛攻撃が嘘の様に彼は大きな手を優しく彼女の頭に添える。

「大丈夫！だって私強いもん！」

ニコニコ笑いながら答えると彼は安心したかの様に手を離した。

「いきなり襲ってきてびっくりしたけど、お兄さん良い人だねぇ。なんて名前なの？」

范「…ハンター名は黒無常。本名は范無咎」

黒無常は淡々と答える。

「ふぁ、ふぁん…？うじょ？うーじん？ん、ん？」

発音に困るフォルトゥナを見て、黒無常は溜息をつく。

范「ファン・ウジンだ。」

「んー…じゃあ、ウジン！ウジンって呼ぶね！」

范「…好きにしろ」

彼はそう呟くと立ち上がる。

范「そういえばお前の名を聞いていなかったな。何という名だ？」

「フォルトゥナ！みんなからはトゥナって呼ばれてるよ！」

范「そうか。小娘」←

「名前で呼んでよ！？」←

ツッコミを入れるフォルトゥナを無視して黒無常はドアを開ける。

范「聞き忘れていたが、お前は招待状を持って此処に来たのか？」

「そうだよ？でも館に入るまでの砂利道で何かに追いかけられて…確かサーベルを持ってたと思う」

范「そうか(ならアイツか？)。ならお前が過ごすべき場所に送ろう、付いて来い」

黒無常はそう言って部屋から出て行く。フォルトゥナは慌ててブーツを履くと、彼を追い掛けた。

廊下に出ると黒無常が壁にもたれて待っていた。どうやら態度や見た目にそぐわずに面倒見の良い性格をしている様である。

黒無常は彼女が追い付いたのをしっかりと確認すると歩き出した。
彼の足が長いせいか歩幅が大きくて彼女が大変そうにしていると、気を利かせて歩幅を合わせてくれたりもした。

「(この人…根っこは優しい人なのかも)」

精悍な顔つきの黒無常を下から観察するフォルトゥナだったが、視線に気付いた黒無常から不愉快そうな目を向けられ、慌てて目を逸らす。

暫く歩くと黒無常がピタリと止まった。

目の前には大きな扉がある。

范「此処がお前達サバイバーの生活する本館だ。ゲームの説明は仲間にしてもらえ。俺は帰る。……今日は見逃したが次は無いぞ」

彼はそう呟くと帰っていった。