第三十四話 ページ44
二人「「…寒い」」
トゥナと無咎は同時にそう呟いた。
二人してトゥナのベッドの毛布に包まっている状態である。
「しかもなんか怠い…」
無「同感だ。あと頭も痛い」
「これって…」
無「嗚呼」
風邪の初期症状…
二人は同時に溜息をつく。雨の中会話していたのだ、体が冷えるのは当たり前である。
「取り敢えず、あったかくしとこ?」
トゥナはそう言って胡座をしていた無咎の足にちょこんと座り直し、毛布をぎゅっと握った。
范「後で医師の所に行かねばな」
「そうだねぇ。あ、暇だからしりとりしない?」
范「唐突過ぎだろう」
「じゃあねぇ…エマ!」
范「マ……豆」
「め…めだか〜」
范「か…カウボーイ」
「カヴィンさん!イー…イライ!」
范「同じ頭文字返すのやめろ」
しりとりをするも、何故か同時に萎える二人。
ずび、と同じタイミングで鼻をすする。
そして二人してベッドに倒れ込んだ。
二人「「しんどい」」←
病状は悪化していた。
范「おい、背負ってやるから医務室行くぞ」
「無咎ホントに風邪引いてる?」
トゥナは無咎の額に手をやる。「熱っ」と言ってゲンナリした。
范「取り敢えず、ほら」
無咎はトゥナを背負うと若干ふらつきつつも医務室に向かった。
范「おい、医師。風邪を引いた、寝かせろ」
医「随分な態度ね…ちょっとそこに座りなさい。あらやだ、トゥナもなの?なんてこと!」
エミリーは呆れつつも二人に処置を施した。
「エミリー先生この薬苦い…」←
范「俺もあまり好きではないな。茶の方がまだマシだ」←
医「貴方達ねぇ……その態度はないでしょう!?全くもう…しょうがないわね、お砂糖混ぜてあげるから。ちゃんと、ちゃんとよ?飲みなさい」
エミリーはそう言って薬の入ったコップを受け取り、砂糖を入れ始める。
それを横目に、トゥナは真っ赤な顔で無咎をからかい始める。
「ウジン苦いの飲めないの子供舌〜」
范「たわけ!お前も飲めないではないか」
「私はまだ子供だから〜でもウジンは大人でしょう?」
范「関係ない、なんだその屁理屈は?お前こそ、茶器は小さいのだから飲むのは容易かろう?」
ふふん、とニヤつく無咎にトゥナはカチンときたのか無咎の頰をつねる。無咎もまた、トゥナの頰をつねった。
ダン、とコップが置かれる。
ギョッとして見ると青筋を浮かべた笑顔で見つめるエミリーの姿が。
医「どっちも子供よ、どっちも」
二人「「は、はい…」」
反論など出来るはずもなかった。
102人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:文学少女 | 作成日時:2019年2月4日 21時