衣装の話 ページ27
反転の話はまた後日改めて…
ーーーー
「衣装？」
庭で柴之介と遊んでいたフォルトゥナが首を傾げる。
謝「はい。最近では新しいサバイバーが入ると一緒に新しい衣装が送られるのです」
かくいう私も綺麗な礼装を頂きました、と謝必安は気の抜けた顔をする。
「衣装か！あ…でもフリルたっぷりのドレスは嫌だ。動きにくいもの」
謝「そういえば、フォルトゥナさんは体を動かすことが好きでしたね。取り敢えず、部屋に戻ってみてください。衣装は既に届いているそうなので」
謝必安は柴之介を撫でると一礼して庭を出て行った。
「…確かめてこよう。柴之介、またね」
庭を出る。
階段を登り、自室に入った。
其処には大柄な包みと小柄な包みが置かれていた。タグには『羅刹女』と書かれていた。
「羅刹女…鉄扇公主か」
試しに包みを開けてみると、中には煌びやかな刺繍が施された黒地の漢服が入っていた。
「わぁ…！！漢服なんて初めて見た！でもどうしよう…着方が分かんない…」
ウィラさん達に聞く？
いや、彼女たちはヨーロッパの人達だ。彼女達も知らないだろう。
謝必安に聞く？
色々とアウトだろう。あくまでも未成年者で女だ。いくら謝必安が優しくても危険きわまりない。
どうしたもんか。
そう思っていると、美智子が入って来た。
芸「あらぁ、綺麗なやない。どうしたん、着ぃひんの？」
「美智子さん。着たいのは山々なんだけど、着方分かんなくて…」
美「ふふ、私できるんよ。着物と似とるさかい、着付けしたるわぁ」
そう言って美智子は黙々と着付けてくれた。
「おぉ…中々新鮮…」
美「なら良かったわぁ。髪も結ってあげるから、ほら近くに寄りぃ」
美智子は目の前に彼女を座らせると器用に髪を結った。綺麗な中国の簪や、耳飾りを付けていく。
挙げ句の果てには化粧までしてくれた。
目元と唇に紅を差す。
美「ふぅ、出来たよ。あらぁ、やっぱりトゥナちゃん可愛らしい顔しとるわぁ〜。早よ早よ、しゃびあんさんとうじんさんに見せてきんしゃい」
美智子はそう言うと笑ってホールへと消えて行った。
シャランシャランと髪飾りを鳴らしながら無常二人の部屋に向かう。
二人の部屋をノックすると中から「どうぞ」という謝必安の声が聞こえた。
そろり、とドアを開け、中を伺う。
謝必安はこちらを穏やかな笑みを浮かべて見つめ、范無咎はこちらに背を向けるようにして読書をしていた。
謝必安は「こっちにおいで」と手招きする。
一歩を踏み出した。
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作者名：文学少女 | 作成日時：2019年2月4日 21時
