第二十二話 ページ23
リ「……まぁ、あり得る未来だなとは思っていました」←
リッパーが呟く。ジョゼフははは、と乾いた笑いを漏らし、無咎は溜息をついて頭を抱えた。
「…すぅ」
3人の目の前には机に突っ伏して眠るフォルトゥナの姿があった。
茶を飲んだことで安心したのか、無咎の気付いた時にはぐっすりと眠りこけている。
范「嫌な予感はしていた…」←
写「彼女、確か18歳だったっけ？まだまだ子供じゃないか。大目に見てやり給えよ」
ジョゼフは自分の羽織っていた豪奢なガウンを彼女の肩にかける。
リ「ジョゼフさんはホントに過保護ですねぇ…孫が出来たお爺ちゃんみたいです」←
写「貴様、帰る時は背後に気を付けろよ」←
リ「ヘァッ！？」←
サーベルをチラつかせるジョゼフにリッパーが顔を青くする。
范「うるさいぞ貴様ら。…とにかく、小娘は俺が運ぶ。それで良いだろう」
俺の部屋に近いからな、と無咎は彼女の膝裏と背中に手を差し込むと、軽々と持ち上げた。
ひゅ〜、とジョゼフが囃すように口笛を吹く。リッパーはニヤニヤと無咎を見た。
范「なんだ、腹立たしい顔つきだな」
写「だって君…表情は一切変わってない真顔だけど、顔真っ赤だよ？」
無「はっ！？」
自分の顔が赤い？そんなバカな…
一人でアワアワし出す無咎。
リ「(彼、不器用なのは相手だけじゃなくて自分の感情の方なのでは？)」
范「と、とにかく！俺は小娘を寝かせたら帰る！お前たちも此処で管を巻いていないでさっさと寝ろ！」
占「なら、私たちが片付けをしますよ。キャンベルくんはザルですし」
写「まぁ、今この状況で使い物になるのは占い師くんと探鉱者くんだけだよね」
言わずもがな、使い物にならない奴はイソップとナワーブである←
范「そうか、すまない占い師。今度奢ろう」
占「いえいえ、困った時はお互い様です。それでは良い夢を」
無咎はイライに軽く手を振って食堂から出て行った。
范「全く…アイツらは冷やかすことしか出来んのか」
文句を言いながら彼は自室にフォルトゥナを抱えたまま入る。
この時点で彼の判断力は疲労と眠気で低下の一途を辿っていた。
部屋の中では手前のベッドで必安がぐっすりと眠っていた。近くのちょっとしたテーブルにいくつかの本が無造作に重ねられているのを見ると、どうやら寝る前まで読書に耽っていたらしい。
彼はベッドに横たわるとこれまたぐっすりと眠るフォルトゥナを抱き枕のようにして泥のように眠ったのだった。
范「(疲れた…)」
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作者名：文学少女 | 作成日時：2019年2月4日 21時
