第二十一話 ページ22
「はい、出来た！」
嬉しそうなフォルトゥナの声で我に帰る。髪を触るとサラサラで乾いていた。
范「…器用なものだな」
そう呟いて立ち上がる。フォルトゥナは荷物を抱えると無咎の後を付いてきた。
「ねぇウジン」
范「なんだ？」
「中国茶飲みたい！」←
范「なんだ突然」
「飲みたい！飲んだら寝るから！」
いいでしょー？と無咎の手を引いて食堂を指差すフォルトゥナ。無咎は溜息をつくと食堂へと向かった。
ドアを開けると、ナワーブ、イソップ、イライ、ノートン、ジョゼフ、リッパーが夜酒に興じていた。
リ「おや、范無咎さん。珍しいですね」
普段悪酔いするといかん、と言ってあまり飲まないのに、と呟くリッパー。
范「酒を飲みに来たのではない。この小娘に茶を沸かせとせがまれただけだ」
酒なら休日に付き合ってやる、と無咎は茶の準備をする。フォルトゥナは彼の傍で出来る過程を楽しんでいる。
写「いやァ、あのお堅い范無咎をコントロールするなんて…やはり彼女とゲームしてみたいよ。あと個人的に写真も撮りたいな、彼女はまさにボーメインだからね」
ジョゼフはブランデーを飲みながら言った。
范「ボーメイン？なんだそれは」
リ「フランス語で美しい手を意味する言葉ですよ。ジョゼフさん、彼女は騎士ガレスではないのですよ」
ジョゼフとリッパーは高らかに笑う。どうやら完璧に出来上がっているらしい。
ちなみにイソップは既に寝落ちている。
茶が沸くとコップに注ぎ、フォルトゥナに渡す。彼女は嬉しそうに椅子に座るとチビチビと茶を飲み出した。無咎も近くに座って飲む。
傭「おぅい黒無常ォ〜〜こっち来てお前も飲めよ〜〜」
范「断る。この前付き合って盛大に吐いたのはどこのどいつだ」
占「ナワーブくん、お酒好きだけど弱いからね…」
はは、と乾いた笑いを漏らすイライ。そしてノートンはワインの2本目にちゃっかり手を出している。
は「…美味いか小娘」
「うん！紅茶とは違うけど、なんだか癖になりそう。ピィアンは良いなぁ、ウジンの淹れたお茶飲みたい時に飲めるんでしょ？」
羨ましい〜と二杯目に手をつけるフォルトゥナを見て一瞬面食らう無咎。
范「……そんなに気に入ったのなら、いつでも言うがいい。茶の一つくらい淹れてやる」
くいっと最後の一口を飲み干すと、頬杖をつき、彼女がいそいそと飲むのをじっと見た。
嗚呼、なんだか
范「(とても愛いな…)」
思ってしまうのも無理は無かろう？必安。
夜は長い。
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作者名：文学少女 | 作成日時：2019年2月4日 21時
