第十八話 ページ19
ギャンギャンと騒ぐ范無咎を引き摺る様にして廊下を歩く。
「やだね！もう決めたんだ、騒いでないで付いてきて」
范「一々カンに触る言い方をするなお前は」
絶対に放すまいと両手で彼の手を握り、フォルトゥナは自室に向かう。ドアを開けると范無咎を放り投げるように押し込むと椅子をガタガタとセットすると、彼に座るよう促す。
「作戦を考えたの。私、勝つなら徹底的にやらないと気が済まない」
范「…はぁ、お前は相当な頑固者だな……しょうがない、聞くだけ聞いてやる」
「そうこなくっちゃ！私、作戦立てるの大好きなの」
范「お前は生まれてくる時代が違えば中々の策士…いや、軍師になれたかもしれんな」
范無咎は少し感心したように呟く。
「ホント？嬉しいなあ」
そう言いながら彼女は学業用品であるペンを取り出すと、作戦を書き出す。
が、しかし。
范「おい、英国の文字は読めん」
「あ、そうだね。ごめん」
彼女は新しい紙を取り出すとスラスラと中国語を書いて行く。
范「…そういえば、一時俺の故郷に居たのだったな」
「うん。いろんな国を回ったよ」
そう言いながら書き上がった作戦を見せる。彼はそれを(恐らく黙読か速読)で読むと、ジョゼフに見せた様なあの悪戯っ子の様な笑みを浮かべた。
「どうかな？確実に勝てると思うんだけど」
范「いや……む、なるほど……ふ、ふふふ…小娘、少し見直したぞ！これならば勝算がある！」
范無咎はそう言うとフォルトゥナの髪をガシガシと撫でた。
「そういえば、どうして今までブラックジャックやらなかったの？」
撫で回していた手が止まる。
范「あー…その、なんだ。こういった頭脳戦はあまり得意ではなくてな、武闘派故、……避けていた。俺のせいで必安に恥をかかせたくなくてな…」
寧ろこういった頭脳戦はアイツの方が得意とするのだが、と顔を逸らす范無咎。
「そっか。兄弟思いだね。あ、そうだ！作戦、あと35個は考えてあるんだけど」←
范「……………は？」←
固まったまま、ギギギと壊れかけのロボットの様に振り返る范無咎。
「さっき言ったでしょ？私"勝つなら徹底的にやらないと気が済まない"って。作戦は複数作って場合によって使い分けるものでしょ？」
范「だからって、35個だと！？」←
「うん。今から教えるから覚えて、全部。私は頭脳戦を担当する。貴方は戦闘を担当して。私の名前は幸運の女神の名なの。絶対貴方を勝たせる。出来ない？」
挑戦する様な顔で言う。
范「…楽勝！」
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作者名：文学少女 | 作成日時：2019年2月4日 21時
