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過去の物見 ページ6

夢を見た。

綺麗な着物を着た少女が、鞠を持って嬉しそうに母親らしき人に駆け寄って行く。

俺は其れを、第三者の様に見ている感覚だ。

『お母さまお母さま!今日ね、私ね、沢山鞠をつけたんだよ!』

『あら、凄いじゃない○○。ほら、こっちに、母さんのお膝においで。ギュってしてあげる』

少女は嬉しそうに母親らしき人に飛び付く。母親らしき人はどうやら床に伏せているらしく、躰つきは細く、今にも折れてしまいそうだった。布団の近くにはお盆と水の入った湯呑みと沢山の薬が置かれていた。

母親は病的なほどの白さの細い手で少女の頭を愛おしく撫でる。

『お母さま、いつになったら一緒に遊んでくれる?伊織も局も、一緒に遊ぶの楽しいけど…外に出してくれないんだもの。局に至っては厳しくて怖いの。お勉強難しいし楽しくないし…』

少女は頬を膨らませながら文句垂れた。母親は困った様に笑うと、再び少女を抱き締めた。

『ごめんね○○…お外で遊びたいわよね。お庭じゃ、つまらないものね…。お母さんも、体の調子悪いの治すから、そしたらいっぱい遊びましょう?それに、伊織も局も貴女がとっても可愛くて、愛おしいから厳しくするのよ。ごめんなさいね、伊織も局も嫌わないであげて』

母親は寂しそうに笑うと、少女と顔を合わせて頭を撫でた。

『うん、分かった!お母さま、大丈夫だよ。私、伊織も局も嫌いじゃないもの!お母さまも、早く良くなってね!』

少女は笑顔で答えると、着物の帯に着いた根付の鈴を鳴らしながら、少女はぱたぱたと部屋の奥へと引っ込んだ。

母親はそれを見送った後、ゲホゲホと激しく咳き込んだ。手には遠目にもうっすらと見える鮮やかな赤色が広がっている。

重病だ。

『ケホ…ッ、ごめん…ごめんね…○○、お母さん、もう……』

母親はそう呟くと、俺の方を見た。

突然の事に俺は体が固まる。


『ー、ーー。』


母親の口がゆっくりと動く。何かを言っている様だ。


だけど肝心な部分が聞こえない。

すまん、俺にはアンタの言葉が聞こえない。

悪い。聞いてやりたい。

だけど、聞こえない。

だから、頼むから、









そんな悲しそうな顔を見せないでくれ。

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大阪 - リクエストで、学校七不思議か、てけてけお願いします! (2019年4月10日 16時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
文学少女(プロフ) - はい。一応文スト、という世界線なので、名も少し変化するかと判断して感じを変えました。それとリクエストありがとうございます!調べた後、書かせていただきます! (2019年4月10日 0時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
秦弓月(プロフ) - 安倍晴明の漢字が違うのは検索避けですか? また、リクエストで「22時48分の足音」と「のどがみさま」をお願いします。 (2019年4月9日 23時) (レス) id: deabd34961 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉(プロフ) - 続編だ!応援してます!この作品大好きです! (2019年2月17日 19時) (レス) id: aea70470cb (このIDを非表示/違反報告)
新羅 - 続編おめでとうございます!楽しんで読ませてもらっています! (2019年2月16日 11時) (レス) id: 86749cca2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年2月3日 15時

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