くねくね 2 ページ3
織『米の名産地なのか?』←
太『織田作、違う、そうじゃない』←
太宰が虚無った目で間髪入れずに返答する。
中也は辺りを見渡し、顔を顰める。
中『八坂、なんか此処、すげェ嫌な感じすんだけど…』←
『あぁ…なんてこと…』←
二人して嘆いていると、谷崎の顔が不安げになる。その手にはスマホが握られている。
織『どうした?』
谷『さっきまで繋がってたのに…圏外になってて!』
谷崎のスマホ画面の右上に圏外表示がしっかり出ている。
太『うわ…ガチじゃん』
中『どうする?』
『…取り敢えず、此処に住んでいる方がいるなら事情を話して脱出しましょう』
藤乃の提案により皆ぞろぞろと歩き出す。
心地の良い風が吹く中、畦道を歩く。夏の今、涼しいということは山の辺りなのかもしれない。
…本来ならまだ時間的に山岳地に入ってはいなかった筈なのだが。
加えて言えば、パーキングエリアに居た筈だ。いきなり座標移動が実行されるのはおかしい。
なら、人ならざるモノの影響か、はたまた土地の霊脈故か。
悶々と考えながら歩いていると、小さなベンチに腰掛けて休んでいる老人が目に入った。
藤乃が優しく話しかける。
『もし、おじさま。此処は何という村でしょうか?私達、林間合宿の合宿場所に向かう途中で迷ってしまいまして……
老『それはそれは、大変でしたなァ。帰り道ならほれ、あそこの獣道を通って行けばすぐに合宿専用の旅館が見えるだろうさ』
老人はしわがれた細い指で獣道を指し示した。藤乃は獣道に視線を移しながら後ろ手で袖口から人型の和紙をそっと取り出し、草の中に気付かれないように落とした。
中『……』
中也は何かに勘付いたのか、藤乃のその行動に何も言わなかった。
落ちた人型和紙はついーっと飛ぶと、獣道に吸い込まれるように姿を消した。
老人に別れを告げ、離れた談笑スペースに座る。
谷『……どうしよう、このまま帰れなかったら』
中『大丈夫だ、谷崎』
太『そういえば八坂さん、なんで身代わり依代を飛ばしたの?』
『あのお爺さん、微かですが邪気を感じました。きっと私達を迷わせるつもりだったのでしょう』
織『嫌がらせか?』
『いや、そんな単純な理由ではないと思います』
藤乃がそう呟いたと同時に、依代が戻って来た。白い紙は黒く変色している。邪気に当たった証拠だ。
『当たりですね、この村にはやはり何かあります』
和紙を睨みつけながら行った時、谷崎が声をあげた。
谷『あれ…なンだろ…?』
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大阪 - リクエストで、学校七不思議か、てけてけお願いします! (2019年4月10日 16時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
文学少女(プロフ) - はい。一応文スト、という世界線なので、名も少し変化するかと判断して感じを変えました。それとリクエストありがとうございます!調べた後、書かせていただきます! (2019年4月10日 0時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
秦弓月(プロフ) - 安倍晴明の漢字が違うのは検索避けですか? また、リクエストで「22時48分の足音」と「のどがみさま」をお願いします。 (2019年4月9日 23時) (レス) id: deabd34961 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉(プロフ) - 続編だ!応援してます!この作品大好きです! (2019年2月17日 19時) (レス) id: aea70470cb (このIDを非表示/違反報告)
新羅 - 続編おめでとうございます!楽しんで読ませてもらっています! (2019年2月16日 11時) (レス) id: 86749cca2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2019年2月3日 15時