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第七話 ページ8

「…っ、ミヒャ待って、歩くの早いよ」


「ねぇミヒャってば」


カイザーは彼女の言葉を無視したまま歩き続ける


帰りのタクシーでは車内では重たい空気が流れ、運転手には申し訳なかった


何より怖いのは手は私の腕を掴んだままで
全く喋らないことだ。だが言わずもがな分かる。

今の彼は危険だ



家に着くと、彼はカードをかざしてドアのロックを解除する


腕を引かれたまま入ると、大きな音を立てて扉が閉められると同時に壁に押し付けられた


「ミヒャ、?!んっ、んん…!んぅ…」

噛み付くようなキスをされ、足の力が抜けてそのまま座り込んでしまいそうになるのをがしりと腰を掴まれ、無理やり立たされる



「ッ、は、ハァハァ…」

二人の唇が銀色の糸を引きながら離れる
ミヒャ、と声を出そうとするのを阻むかのように今度は襟を引っ張られ、首元が露わになったかと思うと首を噛まれる

「ミ…い"ッ!!」

甘噛みではなく本気だった
首を触ると歯型がくっきりと着いている

「ミヒャ…話を聞いて、お願い…」

「話だと?そんなものより身体に分からせてやる方が早い」

「待って、んぁっ」

「どうやらまだ分かってないようだな」

獣のようにギラギラと目を輝かせ、舌なめずりをしながら顔を赤くして肩を上下させる彼女を見下ろす


「…その顔、クソ唆る」


服に手をかけたその時

彼の動きが止まった



彼女が泣いていたのだ。
生理的な涙ではなく、それはぽろぽろと止まることを知らない

悲しそうに目を伏せて涙を零す彼女
カイザーは今までこんな悲しそうに泣く彼女を見たことがなかったため、驚きのあまり目を見開く


「ッ…どうした、A」

「…っ、なん、でもないの…」


「どこか痛むのか」

ふるふると首を横に振る彼女にカイザーも先程までの雰囲気は消え失せ、泣き続ける彼女に困惑し始める


「…悪かった。無理矢理して。痛かっただろう」

首元にできた内出血の跡を優しく撫でた


「…違うの」


「何が違うんだ。じゃあお前はなぜ泣いている?」



「ミヒャ、」

未だ流れ続ける涙を優しく拭ってやる
それでも止まらない涙にカイザーは眉を下げた

彼女の涙は嫌いだ

「…ごめん、なさい。ミヒャ、貴方が怒るのも無理は無い。勝手に、出ていって…ごめんなさい」

「どうして出ていったんだ?」

出来るだけこれ以上彼女が泣かないように優しく声をかけた

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沙羅(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新待ってます! (4月7日 0時) (レス) @page21 id: e669b9fbcc (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 神かよ!!!!!!! (8月24日 9時) (レス) @page15 id: 097fc38870 (このIDを非表示/違反報告)
YUY - うわ最高 この作品のみひゃ最高すぎてまじ神(語彙力皆無)更新待ってます!頑張ってください!! (2023年2月19日 11時) (レス) @page12 id: 2b504e2cbc (このIDを非表示/違反報告)
- カイザー優しい♥️ 最高ですか? (2023年2月14日 17時) (レス) @page9 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
- ヤバいヤバい続きが気になるーーーーーー (2023年2月5日 22時) (レス) @page6 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかお2号 | 作成日時:2023年2月5日 2時

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