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朝、鏡に映る自分を観て女性ホルモンの凄さを思い知る。
なになにこのお肌ツヤツヤ!
これはまさに中村倫也効果!
思えば前の彼氏と別れたのは3年ほど前
その後はひたすら仕事に打ち込み、女子力もそっちのけでひたすら仕事仕事仕事!
気づけば同期の中では2番目の出世コース。
そっか、その頃からかな、男性社員が冷めた目で私を見るようになったのは。まだ話ができるのは、同期で1番仕事のできる菅田くんと、直属の上司くらい。後輩にはどうも怖がられているっぽいし。
こないだの一件から牧田はやたらと話しかけて来るようになってたけど、かなりの塩対応を続けていたらようやく仕事以外のことは話しかけてこなくなった。
牧田はムカつくけど、正直、自分の女磨きを怠ってた部分は認めざるを得ないよね。
「また」なんてないのはわかってるけど、そうじゃなくて。あの日がきっかけで、私も少しは努力しないとと思えるようになった。
あれから数カ月たったある日
「なに、おまえ男でもできたの?」
「ぶはっ!」
目の前の同期からの言葉に思わず食後のアイスティーを吹き出しかけた、いや、吹いた。
ちょっとだけ。
きたねぇなー、こりゃガセだな。なんて人に聞いといて、勝手に会話を終了させてケラケラ笑ってるこの男。
同期で1番の出世コースに乗ってる男
菅田将暉
数少ない私に普通に接してくる同期
顔良し、仕事もできるし、上司からも部下から人望がある。カラオケに行けば女子社員の目をハートにして、噂では運動神経までいいらしい。神様味方につけまくりのパーフェクト人間だ。
私は密かにこいつにはとんでもない欠点があるのではと思ってる。じゃないと不公平でしょ。
「は、何を不躾に!」
「えー、だってみんな噂してるからさ。ついにAにも春が来たのかと思って。」
「う、噂…」
「そ。無愛想で能面のAが最近変わった!って。この前は、笑った顔を見たという都市伝説まで…」
「おいこら!私だって笑いますぅ!久しぶりにランチ誘ってきたと思ったら!」
「んー、確かに化粧とか、雰囲気がちょっと変わったかなぁって思ったんだけど、今の反応じゃ、ガセ決定だな。でしょ?」
「大きなお世話!」
やっぱりなぁー、なんてまたケラケラ笑ってる。
変わった?
努力はしてるけど、自分でわかるほどの変化はない。体重も変わってないし。
髪色は少しだけ変えたけど、中村さんが触れてくれた髪を切るのが惜しくて切れなかった。
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作成日時:2019年3月19日 20時