夢で逢えたら (ページ44)

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出来上がったおかずを涼真の前に並べると、尻尾が生えたワンコみたいに嬉しそうに目を輝かせて許可がでるのを待っている。

「食べよっか、」
「いただきまーす！」
「はいどーぞ。」

すごい勢いでおかずが涼真の口へ消えていく。
うまい！と嬉しそうに食べてくれるとやっぱり嬉しい。作り甲斐がある。

子供みたいに食べる涼真を微笑ましく見ていると、急にピタリとお箸を止めて私をじっと見つめた。

「ねぇ、A」
「ん？」
「男できたろ？」
「！っげほげほ！ななななに？」
「わかりやす…」

焦ってむせる私を頬杖をついて呆れた顔でみてる。

「ちょっとなにいってんのか」
「灰皿でてんぞ」

う…

なんで置きっぱなしにしたの私！
吸い殻まであるから言い逃れできない。

「姉ちゃん？彼氏できたら、わかってるよね？」

ぞわっと総毛立つ。
にっこり笑ってる顔が恐ろしい。目、笑ってない！
こんな時にしかお姉ちゃんって呼ばないんだから。

涼真は昔から私に彼氏ができるたびに会わせろ！と言ってくる。
それはもう面接。
でもそれに合格した彼氏は一人としていない。

「Aは男見る目なさすぎなんだよ」

涼真が私にその言葉を最初に言い放ったのは、涼真が小学4年生、私が中学2年のときだった。

初めての彼氏。
舞い上がってた私は全然気づかなかったけど、どうやら他の女の子とも付き合っていたらしく、それを知った涼真はもちろんブチギレ。
その頃は周りより小さかったけど、4つ上の私の彼氏に掴みかかって大騒ぎ。

それからというもの彼氏ができるたびに涼真から彼氏チェックをされ続けて今に至る。

中村さんのことなんて絶対バレちゃだめ。
付き合ってないけど、それを言っちゃえば付き合ってないのにどんな関係だ！ってなっちゃう。

「女友達が来てただけ」

と苦し紛れの言い訳をして、ご飯を食べ終えたらボロが出ないように速攻で追い返した。

玄関のドアが閉まる寸前まで

「隠しても無駄だぞ！」

と叫んでた。
もういい加減にして…。

涼真が帰ってお風呂から出てきて、ふと見るとスマホのランプが点滅してる。

LINEは涼真からのお説教。しつこい！

不在着信は

「中村さん！」

涼真が来てたせいですっかり連絡を入れ忘れてた！
慌ててかけ直すとワンコールで繋がった。