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もう若くもないんだから、恋愛ごとで仕事をおろそかになんてしない。
ただ、隣の席からの視線がうっとおしくて若干ペースが乱れてる。
それというのも定時少し前にきたLINEのせい。
ともやおつかれ、鍵ポストに入れといたけど、確認したら一応連絡してねん
ねんってなに!いちいちかわいい。
中村さんから届いたメッセージにわかりやすく動揺した私を隣の彼が見逃すはずもなく、それはそれは珍しいものを見るかのようにまじまじとみてくる。
穴があきそう。
見物料とってやろうか。
中村さんに
わかりました
と短く返信して、今日は絶対残業しないと心に決めてパソコンに向かった。
今日は久しぶりに自炊しよう。
ちゃんとご飯を作って、野菜もしっかりとらなきゃ。
人に作るのは嫌いじゃないけど、自分のために作るほど料理好きじゃない。
でも、
『仕事ばっかして食べてないんでしょ?
ちゃんとご飯食べなよ』
前に中村さんに抱きしめられて言われた事を思いだして、ちょっとにやける。
ちゃんと食べて、今度こそ自分磨きして、少しでも長く中村さんを飽きさせない、いい女になってやる!
どうせなら彼女になる努力をすればいいんだろうけど、私の恋愛偏差値ではどうすればいいのかわからない。
だから目指すは
選ばれてNo.1の都合のいい女!
我ながら全力で後ろ向きだけど、中村さんのそばにいれるならそれでいい。むしろそれがいい。
馬鹿なことを考えながらしっかり仕事を定時終えた私はえらい!
ちょっと買いすぎたスーパーの袋と格闘しながらエントランスのポストを開けたら、朝に中村さんに渡した合鍵といくつかの郵便物。
それを手にとると胸の前でぎゅっと握りしめる。
中村さんが持っただけで昨日まではただの鍵だったものが宝物にかわる。
返してくれなくても良かったのに。
でも出会ってすぐの女に合鍵渡されるとか…。
さすがに重い、そして怖い。
郵便物と一緒に大事にカバンにしまう。
中村さんに連絡しよう。
声聞きたいな。電話したいけど、
やっぱりメールのほうがいいかな?
仕事中だよねきっと。
部屋に戻って早速スマホとにらめっこ。
通話ボタンをタップしようとした時
部屋のインターホンが鳴った。
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作成日時:2019年3月19日 20時