検索窓
今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:158,249 hit

27 ページ28

「なにやってんですか、Aさん」


お昼休み。公園のベンチに並んで最上級に呆れた顔で私の横に座る吉沢くん。

「返す言葉もありません…」

「オレあんな色気のない、女の介抱をしたの初めてです。」

「うー…ほんとにごめん!」

なんかひどいこと言われた気がするけど、私には何も言う資格がない。

なんせ、うずくまり動けない私を引きずりトイレまで連れて行ってくれたのはこの人だから。


迷惑かけたからランチをおごると言ったら、
「Aさん、食欲ないんでしょ?いいですよ無理しなくて」

と言われてしまった。
正直、食べ物を見たくなかったからその言葉に甘えさせてもらった。

「二日酔いですか?」

「昨日は一滴も飲んでない」

「じゃあ体調わるいんですか?」

「いやぁ、なんでしょうねぇ…」

笑ってごまかして目を逸らす。


…中村酔いです。あの声の破壊力たるや!


「え!先輩まさか!本当に妊…」

「ばか!そんなわけ無いでしょ!」



「まあ、冗談はこのくらいにして。いい加減、菅田先輩とは話したんですか?」
「あー、うん。まぁ、ね」
「何ですかその 煮えきらない返事は」
「いや、そんなことは…」

私の微妙な返事に、吉沢くんが訝しげな顔をして、少し考えた後、目が落ちちゃいそうなくらい見開いた。

「え!もしかして遂に告られたんですか?!」
「なっ!」

なんで?
心読めるスペックとかもってる?!

いきなり図星をさされて言葉を失う。


「そーかー、やっと言ったんだぁ菅田先輩…。」

私はまだなんにも言ってないのに
彼の中では菅田が告白したのは決定事項らしい。


「で?」
「で、とは?」
「なんて返事したんですか?」
「なんてって、何にも…」
「はぁ?あ!まさか逃げ出したんじゃないでしょうね?」
「まさか!」

しようとはしたけど。

「Aさん、菅田先輩のこと全く男として見てなかったですもんね。同じ男として同情するわぁ…」

遠い目をして完全に菅田を憐れんでる。

そんなこと言われても、気づかなかったものは仕方ない。

私の 人生、今まで平凡でやってきてるのに!最近周りで次々に起こる出来事に心も体もついていけないでしょ。

28→←26



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
284人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2019年3月19日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。