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後ろから聞こえた甘い声に顔だけでそーっと振り向けば、キリっと上がった眉、眠そうにまだ閉じられた瞼。それでもわかる整った顔。クッと綺麗な弧を描く赤い唇。

なんて綺麗な顔。
女の私なんかよりよっぽど。いや、私なんて女のうちに入ってないんだから比べようがないか。昨日の言葉を思い出してこの状況を差し置いてまたへこむ。

「はぁ…」
「どした?」

見つめてた唇が動いて、驚いて視線を上げると私を見つめる寝ぼけた瞳とぶつかった。

「ひっ、」
「んー、まだねむぃ、もうちょいねよ?」
「わ!ちょ、どこ触って」
「うるせ、」
「きゃっ」

一瞬でぐるんと向きをかえられて、腕の中にすっぽりおさめられてしまった。
目の前には程よく筋肉のついた胸板

「あー抱き心地サイコー」
「は?!っていうか、この状況っ」
「もー、」

あわあわと腕の中でもがいて、睨むように顔を上げると同時
さっき見た整った顔が視界いっぱいに見えて、あの赤い唇が私のそれをふさいだ。


え、

コレハイッタイ、ドウイウコト?


「おやすみ♪A」

ちゅ、っと音を立てて離れると

固まった私を残して、目の前の男は満足気に瞼を閉じた。






「って!無理無理無理無理!おやすみ♪じゃない!寝かせないから!」
「えー、まだ足んないの?昨日あんなに、」
「ちょ!なにをっ!うるさい!」
「うるさいのはオレじゃなくておまえ」
「だっ、て、いったいこれは、」
「あれ?まさか何にも覚えてない?」

ちょっとびっくりしたように目を見開いたこの人を見て、気付いたことが一つ。

「なななななな、中村、倫也!…さん、?イヤイヤイヤイヤそんなわけないよね、そっくりさんか、いやでも…」
「Aは独り言多い人?」
「な、んで私の名前、」
「え、昨日言ってたじゃん、Aって呼んでって。」
「………」
「あー、それも覚えてねーか、オレにねーぎゅーって抱き着いて、かわいかったなぁ」
「………」
「あれ、もう怒んないの?」
「………」
「おーい?Aちゃーん?」

なんてこった…
やってしまった……

勢いに任せてお酒を呑んだ挙句、記憶をとばして!
目が覚めたら裸の見知らぬ男がとなりに!
いや、知ってるか、一方的にだけど。
じゃなくて!ちがう!そっくりさんだからやっぱり知らない人!

「あはははは!思ってること全部声にでてるぞ?」
「!」
「んフフ、改めまして中村倫也ですー。よろしくね、Aちゃん」

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作成日時:2019年3月19日 20時

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