- 緑 ページ19
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｢アハハっ、ありがとうございます！｣
大毅さんは懐に入るのがとても上手い。
その笑顔と話のスキルはだれもが虜になる。
今日もまた、大きな仕事を社長直々に契約してきた。
『いやァそれにしても重岡くん、こんな可愛い秘書どこから見つけてきたんだい？』
｢カッ、かわ、いい…？？！｣
俺はオトコやぞオトコ！！！
と目の前にいる髪の少ないオジサンに向かって心の中で言う。これ今心の中読まれたら、即刻クビやろうな。
｢可愛いでしょ？でも、こいつは俺のなんで。｣
アハハ、と笑いあうけど大毅さん、目が笑ってないんやけど。
大毅さんはたまに 俺の神山 感を出してくるから、困る。すぐ惑わされるから、やめてほしい。
ぐるぐる、ぐるぐる。俺の心が渦巻くかんじ。
大毅さんはいつも余裕そう。…おれは、抱きしめられただけでも心臓のドキドキがなおらないのに。
今までたくさんの社長の相手をしてきて、たくさんの人に恋愛感情を持たれては会社を転々としてきたけど。
まさか自分が、こんな気持ちになるなんて。
しかも相手は男やのに … それに、大毅さんは俺に恋愛感情なんかない。
社長と秘書の恋愛は御法度。これがこの業界での暗黙のルールやねんから。
｢アーーーッッつかれた！ニコニコしとくんもほんま疲れるで〜〜｣
いつのまにか取引先の方は帰ってたらしく、気を張っていた(ようには見えんかったけど…)大毅さんがグダリと体をダラケさせる。
｢かみやま、きて｣
｢…ハイ、｣
クイッと手を引っ張られると大毅さんが座っていたソファに倒れ込むようにすると、大毅さんの匂いに包まれて。
｢体温高いな、神山｣
それはきっと、いや間違いなく、大毅さんのせいです。
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作者名：ル | 作成日時：2022年10月10日 12時
