- 緑 ページ16
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大体こいつは、わかっていない。
俺が興味もない女優さんに愛想を振りまいている理由を。
ほら、また。
『アッ、神山さんのマネージャーさん！おはようございますゥ』
「おはようございます！今日もよろしくお願いします！」
俺もそこそこモテるでもちろん、なんてったって今をときめく俳優やから。けど、そんな俺と共におる大毅も、まぁまぁ、いや、かなり顔が整ってて。
それに、俺の株を下げたらあかん！て、いつもニコニコしてるから、女優さんは虜になる一方。
だから、大毅に悪い虫が付かへんように、俺が囮になってるねん。
こんなこと言うたら、ともは嫉妬してたんやなぁ、かわいいなぁ、とかウザイこと言うてくるから、絶対言わんけど。
「優さん、おはようございます。今日もよろしくお願いしますね」
さっき大毅に話しかけてた女優さんに牽制。俺のお得意のスマイルで大毅から離させる。
そしたらまた、大毅が勘違いするねん。全部全部、お前のためにやってんのにな。
「また、デレデレした」
ほら、やっぱり。
楽屋でふたりきり、大毅は絶対に言うてくると思ってた。
「してへんし、挨拶しただけやん」
「うそ、さっきの人の胸見てた」
さっきの人、やって。こいつは愛想は振りまくくせに、興味は無いんやから。
「大毅こそ、にやにやしてたやんか」
「は？してへんわ、」
そう言うと、大毅は俺のことをソファに投げるようにして押し倒した。
「ちょっ、ここ、楽屋ッッッ、」
「機材トラブルかなんかで遅れてるらしいから、時間、たっぷりあるなぁ」
「とも、声、我慢しーや？」
お仕置いやなら、辞めればいいのに。
そう思うやろ？けど、嫌じゃないって言うたら？
俺が興味もないオンナに愛想振りまく理由、ほんとの理由は。
「ハアッッ…とも、すき…ッッ」
「おれも、だいき」
だいすきな大毅の、余裕ない顔が見たいから。
この先もずっと、大毅は俺に弄ばれとけばええねん
だって大毅はおれのやもん
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作者名：ル | 作成日時：2022年10月10日 12時
