「生徒と先生 」 ページ12
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「神ちゃん!!またケガした!!」
またケガした、やなくて またわざとケガしてきた やろ
そう思いながら、ドアの前に立った生徒を目の前の椅子へ招く。
「で、今日はなんで怪我したん。」
「体育でな、サッカーしとったらコケてん!」
なんや、今日はわざとちゃうかったんや。
「あ、けど、神ちゃんに会いたかったからってのも理由やで♡♡」
アァ、わざとやった。
コイツは俺のことが好きだ、なんて言う変なやつ。
会う度会う度好き!て言うてくるから、もう慣れた。
俺に会いたいから!なんて小さなケガでもすぐ保健室にくる。
「ハイハイ、」
「イタタタッッ!!!もお神ちゃん雑いって!!!」
「こんなかすり傷、唾でも付けときゃなおる」
「ほな神ちゃんがつけて?」
「…アホ、自分でせえ」
コイツ、妙に顔整ってるから。
生徒やって言うのに、たまにドキッとしてしまうのも、事実。
「はい、できた」
「へへっ、ありがとう神ちゃん!すき!」
「ハイハイ、」
「あーまた流す、俺本気やで?」
「お前が本気でも、俺らは生徒と教師やから」
「…ほんなら、おれが生徒じゃなかったら、」
「え?」
「神ちゃんは、俺が生徒じゃなかったら、俺のこと好きって言うてくれてた?」
いつもキラキラの笑顔を振りまくくせに、悲しそうな顔で言うから、戸惑いが隠しきれなくて。
「しげ、おか…???」
「…なんもない、じゃあね、神ちゃん」
その日以来、重岡は俺の元に来ることは、なかった
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作者名:ル | 作成日時:2022年10月10日 12時