80. 代わり ページ30
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「…なあ」
シューシーの息を吸う音と同時に、空気がぴん、と張り詰めたのが分かった。
肩が強張る。何か言われる？
「んー？」
「3週間さー、俺の前でほぼ毎日泣いたじゃん」
「…ごめん、本当にごめん」
「いや、いいんだけど」
静かな部屋に、空調の音とシューシーがコーヒーを啜る音だけが静かに響く。
「なんでジョンウにこだわんの」
「え？」
「その、だからさあ」
「俺にしとけばいいのに。俺だってモモのこと好きなんだけど？」
「えっ、と」
「マジ。俺はいつも本当のことしか言わない。嘘つかないし」
椅子のキャスターをスス、と滑らせて、私に両腕が届くところまで近付いてくる。
「…シューシーと私は出会ってそんなに経ってないし、何で好きになってくれたのかも分からないし」
「歓迎会。いっちばんさいしょの」
「…」
「一目惚れだったんだよ、知らねーでしょ、それ」
「…知らなかった」
「連絡先くらい交換できると思ってたのに、一目惚れとか初めてで声かけられなかった」
「俺って正直かっこいいじゃん？」
「…はは、まあそうだね」
「俺を超えるイケメンに出会ったことある？ないと思うけど！」
「…」
シューシーは、多分本気でそう思ってるんだろうなって、思わず頬が緩む。
けれどそれは嫌味のない自信で、彼は自分も周りも大切にできる素敵な人。
「だから俺といれば目の保養になるし、仕事も捗るし、毎日楽しいよ」
「でも、私は」
「あんなヤツやめときな、俺にしとけって」
「…無理だよ」
悲しいことに、どれほど努力しても私はジョンウのことをこれっぽっちも忘れられていないのだ。
ジョンウを避ければ避けるほど、意識してることに気付いてしまう。
重い空気が2人の間を通り過ぎる。
私がちゃんと、言わなくちゃ。
「…忘れられないの」
「…」
「何万回忘れる努力しても、無理だった」
「…」
「ジョンウの代わりになる人がいないと、一生引きずったまま生きる、多分」
「だからそれ俺がやるって」
「んーん、シューシー、ちがうの」
「何が」
ぼろぼろと涙がこぼれる。
立ち直ってきてたつもりだったのに、本当は全然まだまだだったみたい。
「ジョンウの役は…たぶん…ジョンウしかできない」
会いたい。
会ってちゃんと話したい。
でも会って別れ話されるのもいやだ。
逃げて苦しくなるのは私だって、分かってるのに。
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もゆ - 神作品の記念すべき400票目の投票をさせていただきました…！2作品分？一気に読んだのですがもう、他ペンの私から見てもジョンウってこういうあったかい人やんね〜っていう謎の共感?!というか人柄が綺麗に表現されてて感動しました！ありがとうございました！！ (2021年5月21日 0時) (
レス) id: a156f1d191 (このIDを非表示/違反報告)
Sar - やっぱり天才です(涙) (2021年5月10日 16時) (レス) id: 3eb67c9a03 (このIDを非表示/違反報告)
peko(プロフ) - はじめまして！面白くて一気読みしてしまいました！(笑)結末まで可愛いのがさすがキムジョンウ！ってなりました！！キュンキュンもありモヤモヤもあり…でもキュンキュンさせてくれる素敵なお話でした！どうか結婚まで…と続編を希望してます！笑笑 (2021年4月29日 21時) (レス) id: a8c9f227dd (このIDを非表示/違反報告)
ハリ(プロフ) - ろんさん» ろんさまお返事遅くなって申し訳ありません(TT) その一言が頂けたことが最高にうれしいです…楽しんで頂けたなら本当に良かったです。読んでくださってありがとうございました(TT) (2021年4月21日 21時) (レス) id: 86d42c940d (このIDを非表示/違反報告)
ろん - 凄いきゅんきゅんしました（しあわせ） (2021年4月9日 20時) (レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハリ
| 作成日時：2020年12月18日 12時
