96. final ページ46
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長いようで短い休みが明けて、月曜。
「いってきます」
「いってらっしゃい、いってきます」
「いってらっしゃい」
いつものようにわたしの部屋にジョンウが迎えに来て、私は玄関で靴を履きながらお互いに行ってきますを言う。
ジョンウが始めた謎の習慣。もう慣れて何とも思わない。
エレベーターに乗るとジョンウは防犯カメラに手を振って、私の手を取った。
日が当たって心地よい歩道を手を繋いで歩く。
どんなに急いでいても、手だけは、ちゃんとぎゅっと。
「手汗」
「ジョンウだよ」
「ちがいますけど？」
「じゃあいいよ離して」
「それはやだ」
「わがまますぎ」
どうしようもないくらいくだらない会話だってジョンウとだから大切で愛おしい。
しかし。
ジョンウの手との間にあるじんわりとしたへんな温度が、そろそろ気になる。
それとなく指先の力を全部抜いてジョンウの手からすり抜けようとすると、ジョンウは普段じゃ絶対しないような強さでぎゅっと私の手を握り直した。
「いた！いたいんですけど！」
「離そうとしたのがわるい」
「ごめんって、離して」
「意味分かんない」
そのまま改札をくぐって、電車を待って、ジョンウに引っ張られながら電車に乗り込んで、降りて、
結局会社の前までたどり着いてしまった。
「ジョンウちょっと本当に離して」
聞こえてないみたいにずんずん進む大きな背中。
エレベーターの中でもその手は繋いだままで、とうとう私たちは部署の目の前まで来てしまった。
「ジョンウほんとにいい加減に…」
「やだ」
「会社ではしないって…あ」
目の前には、お手洗いから戻ってきたらしい、シューシー。
「お、おはようシューシー…」
「おはよう？！わざわざ付き合ってんの見せびらかすなよ！！」
「……ねえ！！！」
「あ」
時すでに遅し。
同じ部署の全員が私たちを見つめる。
「え、モモとジョンウ？！」
「おいジョンウ、お前…」
「モモヌナ…え？」
なんだかざわざわ聞こえて、呼応するみたいに真横で大好きな声がはじけた。
「はあ…そうでーす、モモは俺のものでーす」
この男が余計なことを言ったせいでさらにざわつく周囲。誰かが「信じられない」と言ったのが聞こえた。
すると、突然唇にいつもの感覚。
「はい、証明。これでいいでしょ」
ああ、ほんとばか。
溜息をついた私を見て、ジョンウがふっと笑った。
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もゆ - 神作品の記念すべき400票目の投票をさせていただきました…！2作品分？一気に読んだのですがもう、他ペンの私から見てもジョンウってこういうあったかい人やんね〜っていう謎の共感?!というか人柄が綺麗に表現されてて感動しました！ありがとうございました！！ (2021年5月21日 0時) (
レス) id: a156f1d191 (このIDを非表示/違反報告)
Sar - やっぱり天才です(涙) (2021年5月10日 16時) (レス) id: 3eb67c9a03 (このIDを非表示/違反報告)
peko(プロフ) - はじめまして！面白くて一気読みしてしまいました！(笑)結末まで可愛いのがさすがキムジョンウ！ってなりました！！キュンキュンもありモヤモヤもあり…でもキュンキュンさせてくれる素敵なお話でした！どうか結婚まで…と続編を希望してます！笑笑 (2021年4月29日 21時) (レス) id: a8c9f227dd (このIDを非表示/違反報告)
ハリ(プロフ) - ろんさん» ろんさまお返事遅くなって申し訳ありません(TT) その一言が頂けたことが最高にうれしいです…楽しんで頂けたなら本当に良かったです。読んでくださってありがとうございました(TT) (2021年4月21日 21時) (レス) id: 86d42c940d (このIDを非表示/違反報告)
ろん - 凄いきゅんきゅんしました（しあわせ） (2021年4月9日 20時) (レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハリ
| 作成日時：2020年12月18日 12時
