【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました４

まさかのオチ ページ36

俺と椋が戻っても、未だ問題が解決する兆しの見えない二人。

(参ったな……)

原因が俺と知った今、とにかく気まずくて仕方がない。

一番簡単な解決方法としては俺が206号室とかに移る事なんだろうけど、生憎俺なりに結構家具配置しちゃったからな。

至さんに借りたゲーム機の配線も繋ぎ終わってるし、今更動くのはなかなかに手間すぎる。

｢あのさ｣

そんな中、先に動いたのは頭脳派である幸だった。
前置きをしてから、ちらりと俺の方を見やる。

｢気になったんだけど、偽善者って新メンバーが増える度に部屋移動してる訳？｣

問いかけに対し、首を縦に振った俺。

｢まぁ団員優先だからな｣

｢全部屋埋まったらどうすんの？｣

｢えぇ……？えーっと……｣

弱い所を突かれ、返事に困る。
言われてみればその辺全然考えてなかったな。

そもそも冬まで無事に行けるのかすら……。
言ったら監督さんに怒られるなこれ。

｢中庭でいい｣

｢俺がよくねぇよ｣

真澄お前マジ何言ってんの？
そんなに俺を追放したいの？

サイコストーカー発想が怖すぎだよ？

｢なら俺と201でいいじゃん｣

｢なっ！？お前！！｣

勝ち誇ったような表情で幸が言った途端、対する天馬が驚愕の表情を浮かべる。

｢うーんでもなぁ｣

｢部屋の移動なら手伝うし、どの道またあの部屋も移動する事になるんでしょ？｣

｢正論の暴力｣

流石幸。
左京さんが口で負けるだけあるな。

でも俺お前らの正規の部屋配置崩す気ないし。
天馬と幸こその201号室だし。

｢っ……！｣

そんな縋るような目で見るなよ天馬……。
気持ちは痛いほど分かるけども。

中学生に先を越され、俺の答えによっては俺と隣の部屋になる事も無くブラックリストの三角と相部屋……縋りたくもなるわ。

(とは言え……)

言われて気づいたけど、確かに部屋問題も考えなきゃいけないよな俺。

とりあえず幸には悪いがここは断るとして。
理由を考えてから、ごめんと言いかけた時。

｢Aはおれと同じ部屋だよ〜？｣

全員の後ろでずっと黙っていた(正確にはマカロンを食べていた)三角が、俺の声に被せるようにしてそう言った。

｢……はい？｣

既に嫌な予感しかせず、片側の頬だけが上にあがる。

｢三角くん、それってどういう事？｣

監督さんが代表して尋ねると、三角はにぱっと明るい笑顔で告げた。

｢Aの部屋の物、全部俺の所に移したから！｣

｢……｣

後に一成はこう語る。

部屋へと走る俺は、まるで風そのものだったと。

解決、部屋問題→←続・部屋割り争い

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