【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました４

断れない状況 ページ4

幸が劇団の事で監督さんと話をしている間。

｢お前それプライバシーの侵害だから！｣

俺は懸命に一成のフォルダ内にある写真を消去しにかかっていた。

｢消せってこのっ！｣

｢おっと！｣

消すように言っても聞かないのは分かっている為、一成の携帯を奪おうとする俺。
だが流石命同様に携帯を扱っているだけあって、厄介な事になかなか手放してはくれない。

｢だからこうして聞いてるんじゃん！はやみんみたいなイケメンならすぐ有名になれるし！｣

｢必要ない！｣

この世界で変に知名度上げてなんかあったらどうすんだよ！ただでさえ異端者なんだぞ俺は！！

｢おこ顔いただき！｣

パシャリと勢いよく振り向くと同時に聞こえたカメラ音。
そして一成の携帯に収められる一枚の画像。

｢か〜ず〜な〜り〜！｣

｢ほら笑ってはやみん！｣

｢笑えるか！！｣

なにこいつ俺が怒ってんの分かんないの！？
怒ってるよ！？激おこだよ俺！？
いや実際本気でキレちゃいないけどさ！

咲也なんて何を思ったのか俺と一成見て仲良しとか言ってるからね！？シトロンさんに関してはまだ寝てるからね！？！？

｢あぁ、Aさんまで犠牲に……｣

頭に手を置き嘆く綴。
ごめんな、俺お前が毎回こんなに面倒な思いしてるなんて思わなかったよ。

｢撮らせればいいじゃん｣

声のする方を向くと、そこでは心底どうでもよさそうな顔をした幸が呆れながらに俺達を見ている。

というか、

｢今なんて？｣

｢だから、撮せてあげたらいいんじゃないって言ったの｣

いやなんでだよ！？
面倒だからってその解決方法は野蛮すぎるだろ！

とにかく、誰がなんと言おうと俺は個人情報をさらけ出すような事はしなーーー

｢この劇団色々厳しいんでしょ？そこのコミュ力高男見るからに人脈あるみたいだし、上手くいけば宣伝になるんじゃない？｣

｢なになに？俺褒められてる！？｣

｢あんたフォロワー数は？｣

｢ちょい待ち！……はいこれ！｣

｢え！？こんなに！？｣

｢俺こんな沢山いる人初めて見ました……！｣

ーーーいって……思って、て……。
あれ、なんだろう、これ。とても嫌だとか言える空気じゃない。

｢毎回四百〜千ええな！位は貰えるよん！｣

｢マジか。俺といい勝負してるじゃん｣

ちょ、待って、待って！

｢いや、だからって……俺は……｣

｢Aくん……ダメ、かな……｣

｢う……｣

縋る監督さんにたじろぐ俺。
肩に置かれた手は、今一番同情してくれてるだろう綴のものだった。

カズナリミヨシ→←三好一成という男

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