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微かな希望 ページ24

天馬の突然の宣言に思わず足を止め、不覚にも呆けた顔になる俺。

一体、何をどうしてそんな結論に至ったというのか。

「なんで急に……」

「それだ」

尋ねると、顎と視線だけで下を見るように指示される。
辿った先は、俺の手にあるノートが入った袋。

「あんたに借りたノートを読んでて分かった」

どうやら天馬は天馬なりに、このノートを見て何かしらの答えに行き着いたらしい。

ノートから天馬の方へと顔を上げれば、いつになく真剣な表情で俺を見ている。

「ーーーあんた、本当は舞台立ちたいんだろ」

「……」

「やっぱりな」

一瞬とはいえ眉を寄せた俺に、天馬は確信を得たとばかりに口角を上げる。

流石は天才役者なだけあって、相手の表情を読み取るのには長けているようだ。

「なんでそう思った?」

一応警戒しつつ、過去にも似たような事があった事を思い出す。
だが雄三さんとは違い相手は天馬だ。

この話を持ち掛けてきた彼に対する怒りもなければ、特にこれといって嘘をつくつもりもない。

勿論、本当の理由までは言えないけれど。

「今後の課題やトレーニングの他に、具体的な動きを書いてる文がいくつかあった」

まるで自分ならこうするって言ってるみたいにな。

思い当たる節に、俺は一人心の中で納得する。

(……なるほど)

やはり気をつけようとは思っても、無意識の内に手は動いているらしい。
その観察力に関心さえする。

「あの監督にも見せてるなら、きっと向こうも知ってるんだろうな」

「……はぁ」

一切の外れがない的確な考察に、俺が出した答えは一つのため息だった。

「降参。全部当たりだ」

「ふん、当然だ」

ここまで言われたら誤魔化す気にもならない。

「けど、多分お前が思ってる程簡単な問題じゃないぞ」

俺だって努力はしてるし。
そりゃあそう思ってくれたのは凄く嬉しいけどさ。

困ったように笑う俺に、変わらず天馬は話を続ける。

「……俺は自分を変える為にここに入った。入団する以上、あんたは俺に手を貸すんだろ?」

「まぁ……そうだな」

「なら俺も、そっちが舞台に立てるよう手を貸してやる。それだけだ」

それに……。
続けようとして、だが強引に言葉を終わらせる。

そんな天馬に、俺はただ呆然としていた。
まさかあの天馬にそんな事を言われるとは。

(……まいったなこりゃ)

途端に心が軽くなり、嬉しさで口元が緩む。

「なっ、おい!」

「んじゃ、期待しとくわ」

そう返して、天馬の頭を強引に撫で回した。

悲劇の前触れ→←決意表明



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作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 梨さん» 同じ推しの方に出会えてポンコツ厨の私大歓喜です\( 'ω')/バッ いいですよね.........え、おま、監督に惚れ、ちょ、チョロ〜!!ってなった瞬間彼が推しになりました(昇天) (2018年8月12日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - おんぷさん» コメントありがとうございます!グダグダで薄っぺらくならないよう気をつけてるのでそう言って頂けると励みになります!応援感謝です\( 'ω')/バッ (2018年8月12日 22時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アイトさん» コメントありがとうございます!この作品に時間を割いて下さった上に面白いと言って貰えてとても嬉しいです!頑張らせていただきます\( 'ω')/バッ (2018年8月12日 2時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まさかの最推しが同じでとても嬉しいです……ポンコツ尊い(クソコメ失礼します) (2018年8月10日 1時) (レス) id: f85cb309ef (このIDを非表示/違反報告)
おんぷ(プロフ) - 毎回、更新のたびに楽しく読ませていただいております!ペースがゆっくりな分、内容が濃いし面白いので、このまま続けて欲しいなと私は思います!これからも頑張って下さい。応援しております! (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7e9d265bdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年7月19日 1時

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