決意表明 ページ23
「お、全員来てるな」
「みたいっすね」
いざ劇場に来てみると、入口の前で既に全員が集まっていた。
天馬もちゃんと一人で来れたらしい。
とはいえ、
「ポンコツ役者!」
「なんだと!?」
「……早速やってるな」
「……みたいっすね」
変わらず二人は喧嘩してるけど。
「お待たせ」
「遅い!」
声をかけた瞬間幸に説教された。
えぇ……これでもまだ時間より早いんだけど。
なんちゅう理不尽な姫様だ。
「ごめんごめん。じゃ、行くか」
気を取り直し、一成と案内を綴に任せて俺は一番後ろを歩く天馬の隣に並ぶ。
この集団行動の元凶をはぐれさせない為だ。
てっきり綴の横に並ぶのかと思ったが、案外そうでもないらしい。
「一人で来れないんだって?」
前の幸達に聞こえないよう小声で言えば、「あいつが大げさなだけだ!」と顔を赤くして言い訳された。
よかったな四人に聞こえてなくて。
「大体、ここに来る途中だって二回しか間違えてないぞ」
「……あぁ、そう」
二回間違えたんだ……。
その辺自分から言っちゃう辺りなんというか……ポンコツだよな。
敢えて触れないようにしていると、「そんな事より」と言いながら天馬は手に持っていた袋を俺に渡してくる。
何かと思い中身を除けば、入っていたのは先週渡した四冊のノートだった。
「参考になった」
「そりゃ良かった。また読みたくなったら貸すから言えよな」
「……助かる」
こういう素直さが天馬のいい所だよな。
普段は色々と不器用だけど、演技となれば純粋に取り組む辺りなんて特に好感が持てる。
俺は両世界のクソオヤジには反抗ばっかしてるし。
「他にもなんかあったら遠慮なく言えよ」
これからは同じ劇団の団員だからな。
「……ああ」
目を見て言ってやると、気恥しいのか素っ気ない返事をした天馬。
初めは人付き合いが難しくて戸惑う事も多いだろうけど頑張れ。
俺も適度な距離でサポートしてやるから。
「なら、早速だが昨日新しく決めた事がある」
俺の持つ袋に視線を移し、早速とばかりに口を開いた天馬。
「へぇ、何を?」
「その前にあんた、今は訳があって舞台に立てないんだよな?」
「……まぁな」
そっち方面の話だったか。
けど天馬もトラウマ持ちだし、その点じゃ俺と共通してるのかもしれない。
「なら、俺があんたを舞台に立たせてみせる」
「へ?」
「それが昨日出来た俺の二つ目の目標だ」
覚悟しとけ。
その言葉に、俺はただただ空いた口が塞がらなかった。
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祐(プロフ) - 梨さん» 同じ推しの方に出会えてポンコツ厨の私大歓喜です\( 'ω')/バッ いいですよね.........え、おま、監督に惚れ、ちょ、チョロ〜!!ってなった瞬間彼が推しになりました(昇天) (2018年8月12日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - おんぷさん» コメントありがとうございます!グダグダで薄っぺらくならないよう気をつけてるのでそう言って頂けると励みになります!応援感謝です\( 'ω')/バッ (2018年8月12日 22時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - アイトさん» コメントありがとうございます!この作品に時間を割いて下さった上に面白いと言って貰えてとても嬉しいです!頑張らせていただきます\( 'ω')/バッ (2018年8月12日 2時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - まさかの最推しが同じでとても嬉しいです……ポンコツ尊い(クソコメ失礼します) (2018年8月10日 1時) (レス) id: f85cb309ef (このIDを非表示/違反報告)
おんぷ(プロフ) - 毎回、更新のたびに楽しく読ませていただいております!ペースがゆっくりな分、内容が濃いし面白いので、このまま続けて欲しいなと私は思います!これからも頑張って下さい。応援しております! (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7e9d265bdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年7月19日 1時