滅多に見せない表情 ページ39
斑鳩三角という名のアトラクションにて揺られまくった十数分。
「とうちゃ〜く!」
ようやく三角(と抱えられた俺)がMANKAI寮に着いた頃には、走った本人よりも乗っていた人間の方が息切れを起こすという異常事態が発生していた。
「はっ、はっ、し、死ぬかと思った……」
降ろして貰い、息も絶え絶えに玄関を潜るとその場にへたり込む俺。
てか途中で道間違えるって何。
稽古中ですらここまでなった事ないぞ……。
「A、大丈夫?」
「ぜ、全然大丈夫じゃない……」
どうすんだよ明日から商店街にいた人達全員に変な目で見られたりしたら。
あっ、あの人そういう趣味もあるんだ……とか思われてたら!
三角に関しちゃいいかもしんないけど、俺なんて週五レベルで通ってんだからなあの商店街!
地道に頑張っておまけ貰えるくらいにはなかなかの地位確立してたんだからなっ!!
「ねぇねぇA!」
「なに……」
「走ったらお腹空いた!」
「うるせぇよちくしょう早く作んぞ!」
「うん!おれも手伝う!」
夏組入ったら即買い物連行して誤解といて貰うかんなマジで!
* * * *
「これ捏ねといて」
「こう?」
「そうそう」
手を洗ってから二人で早速台所に入り(どうせだから三角にも手伝って貰っている)、お互い調理を進めていく。
とは言っても三角には簡単なものだけやらせてるけど。
「完成したら部屋持ってってやるから」
「ほんと〜!?おれ頑張る!」
「おう、頑張れ頑張れ」
そんな他愛もないやり取りを続けていたのだが、それはあまりにも突然だった。
「……」
何を思ったのか黙り込む三角。
「……どうした?」
不思議に思い隣を見ると、捏ねていた生地に視線を落としていて。
それから小さく口を開く。
「Aは……凄いね」
「は……?」
いきなり何を言い出すのかと思えば、返ってきたのはまたもや予想を上回る発言。
ついていけない状況にただただ困惑する。
「なんだよ突然」
大体同じ身長なせいか、少し悲しそうに笑うその顔がよく見えて。
どこか遠くを見ているようだった。
「お芝居も出来て、おにぎりもさんかくで、それで……俺を見つけてくれて」
「……」
さっきの呟きといい今といい、今日の三角はよくそんな顔をする。
画面上じゃ一切見た事の無い表情。
「これ」
「……三角定規、だな」
三角の一番の宝物。
おじいさんと三角を繋ぐ、たった一つの道具。
「これはねーーー」
三角は少しずつだが、俺に話をしてくれた。
1329人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
祐(プロフ) - こずめさん» お返事遅くなりました!(名前変わっててすみません)もう文章からこの作品を好いてくれてるのが凄く伝わってきます私も貴方様が好きですありがとうございます。夏組編もよろしくお願いします! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました!本当ですか!?みかさんのA3!との出会いに関われたなんて嬉しいです!この作品書いてて良かったです・゚・(つД`)・゚・ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - イオリさん» お返事遅くなりました!そう言って貰えて凄く嬉しいですヽ( ´ ▽ ` )ノ私も夏組大好きです! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 翔香さん» コメントありがとうございます!大変お待たせ致しました!またこれからゆっくりではありますが続ける所存ですのでよろしくお願いしますヽ( ´ ▽ ` )ノ (2018年7月19日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - Lilyさん» コメントありがとうございます!初期の頃からずっと支援してくださっていたなんて嬉しい限りですヽ( ´ ▽ ` )一応冬まで続ける所存ですので、これからも読んでやってくださいませ\( 'ω')/バッ (2018年7月19日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:祐 | 作成日時:2018年3月13日 10時