もうすぐだから ページ37
感動の千秋楽を終え、裏方さん達と最後のミーティングで締めくくった後。
舞台裏で話しているカンパニーの皆を置いて、俺はひと足早く一人満開寮へと向かっていた。
「急がないと……!」
時間に追われながら、寮までの道を全力で駆ける。
こうなったのはほんの数分前。
初めは俺も裏方さん達と一緒に舞台の片付けをしていたのだが、照明さんに「帰ったら寮の皆で打ち上げとかするんですよね?」なんて話を振られて。
そこに感動の舞台やら何やらでテンションの上がっていた俺がつい、
「はい!頑張った皆の為にも、帰ったら急いで好物作ります!」
なんて失言をしたばかりに、その場で聞いてた裏方さん全員から帰るよう言われてしまった。
何でも俺はあくまで助監督なだけで、家政夫も兼任してるとは思わなかったんだとか。
打ち上げの料理も出前を想像してたらしい。
早く帰れと追い出されて、皆には本当に悪い事したと思う。
……けど、だってさ。
「色々きつすぎて……!」
最後至さんが涙流した時とかもうなんかぐわっと来たもん俺。
ただでさえゲームでも瀕死だったのにさ、現実とかもう無理尊いしんどい。
興奮してそんな失言しちゃう位にはしんどかったんだよマジで……。
とまぁそんな事があって、こうして走っている訳だけど。
「……ん?」
走ってる途中、寮まで後半分という所で見慣れたシルエットを見つけた。
向こうも俺に気づいたらしく、嬉しそうに駆けてくると同時に俺目掛けて飛びついてくる。
「うわ!って……」
「A!おかえり〜!」
「三角!?お前なんでここに!?」
いやほんとなんで?
確かに三角には千秋楽来るようにってチケット渡したけど、まだ帰ってなかったのかよ。
「あのお芝居観たら、なんか落ち着かなくて!Aの事待ってたんだ〜!」
「いや、待ってたってお前なぁ……」
もし俺が皆と帰ってたらどうする気だったんだ。
いやバレても別にいいんだけどさ。
まぁ大方、咲也達の芝居を見てたら居ても立ってもいられなくなったってとこだろう。
俺と一緒だ。
「俺も……あんな風に皆でお芝居してみたいな」
「三角……」
呟く三角はどこか寂しそうで、胸が強く締め付けられる。
……そうだよな。
今、こいつには俺しかいないんだよな。
俺は少し黙った後、三角の頭を両手でぐしゃぐしゃに撫で回した。
「絶対出来るから!俺が保証する!」
大丈夫。皆は絶対、お前の事を見つけてくれるから。
だからそんな顔すんなよ。
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祐(プロフ) - こずめさん» お返事遅くなりました!(名前変わっててすみません)もう文章からこの作品を好いてくれてるのが凄く伝わってきます私も貴方様が好きですありがとうございます。夏組編もよろしくお願いします! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました!本当ですか!?みかさんのA3!との出会いに関われたなんて嬉しいです!この作品書いてて良かったです・゚・(つД`)・゚・ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - イオリさん» お返事遅くなりました!そう言って貰えて凄く嬉しいですヽ( ´ ▽ ` )ノ私も夏組大好きです! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 翔香さん» コメントありがとうございます!大変お待たせ致しました!またこれからゆっくりではありますが続ける所存ですのでよろしくお願いしますヽ( ´ ▽ ` )ノ (2018年7月19日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - Lilyさん» コメントありがとうございます!初期の頃からずっと支援してくださっていたなんて嬉しい限りですヽ( ´ ▽ ` )一応冬まで続ける所存ですので、これからも読んでやってくださいませ\( 'ω')/バッ (2018年7月19日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年3月13日 10時