打開策 ページ22
無事に初日を終え、千秋楽まで残り三日となった日の夜。
｢……あれ｣
普段通り、三角から返却されたおにぎりの空皿を洗いに台所へ来ると、そこにはパソコンと難しい顔つきで向かい合う支配人がいた。
｢まだ寝ないんですか？｣
流石に役者じゃないとはいえ、人一倍このカンパニーに思い入れのある支配人だ。
ここ最近の緊張だのなんだので眠くない訳が無い。
｢いや〜、チケットの状況が気になっちゃいまして……｣
｢なるほど｣
そういう事なら納得できる。
何せカンパニー存続の危機だもんな。
コーヒーを飲むかと聞けば｢お願いします｣と返事が返ってきた為、手早くインスタントを用意する。
疲れてるだろうし、砂糖とミルク多めに持ってこう。
｢それで、どんな感じなんです？｣
両手にカップを持ち、支配人の隣に座る。
そのまま一緒になってパソコンを除くと、そこにはチケットの売上状況やら開演時間やらの画面が映っていた。
｢それが後五枚でして｣
寝るに寝られないんです……。
ははは……と弱々しく笑う支配人に、俺も納得とばかりに頷く。
支配人程じゃないにしても、一刻も早く売り切れて安心したいし。
それに何より、春組の舞台を沢山の人に観て貰いたい。
俺は助監督という立場で監督さんと舞台裏から皆の事を観ていたけど、あれはもうなんか感動した。
もちろん直に見たからってのもあるだろうけど、やっぱりここまで関わってきたってのが大きかったんだと思う。
(あと五枚……か)
確かに無くせる宛があるなら無くしたいよな。
となると俺の知り合いとか……あ。
突如頭に浮かんできた三人。
そうじゃん！そういやまだ来てくれるかもしれない奴らいたじゃん！
｢支配人、千秋楽のチケット三枚買わせて下さい｣
この際完売さえ出来ればいいんだから、試してみる価値はある。
俺の金ってのが痛い所ではあるけども。
｢え！？ほほ、本当ですか！？｣
｢はい。聞いてみます｣
最悪、来なきゃ来ないで雄三さんの生徒の仲良くなった奴らとか、俺が客演でお世話になった皆さんとかに頼めばいいしな。
……チケット代俺持ちだけど。俺の金だけど。
｢た、助かりますA君！｣
｢俺だってこの劇団が大事ですから。てことではい、寝ますよ｣
さっと購入を済ませ、強制的にパソコンの電源を落とす。
カップを洗う間、終始礼を言ってくる支配人はとっとと追い出した。
｢……よし、頑張るか｣
気合いを入れ、俺も部屋に戻る。
明日、いるといいんだけど。
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祐(プロフ) - こずめさん» お返事遅くなりました！(名前変わっててすみません)もう文章からこの作品を好いてくれてるのが凄く伝わってきます私も貴方様が好きですありがとうございます。夏組編もよろしくお願いします！ (2018年7月21日 23時) (
レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました！本当ですか！？みかさんのA3!との出会いに関われたなんて嬉しいです！この作品書いてて良かったです・ﾟ・(つД｀)・ﾟ・ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - イオリさん» お返事遅くなりました！そう言って貰えて凄く嬉しいですヽ( ´ ▽ ` )ノ私も夏組大好きです！ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 翔香さん» コメントありがとうございます！大変お待たせ致しました！またこれからゆっくりではありますが続ける所存ですのでよろしくお願いしますヽ( ´ ▽ ` )ノ (2018年7月19日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - Lilyさん» コメントありがとうございます！初期の頃からずっと支援してくださっていたなんて嬉しい限りですヽ( ´ ▽ ` )一応冬まで続ける所存ですので、これからも読んでやってくださいませ＼( 'ω')/ﾊﾞｯ (2018年7月19日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：祐 | 作成日時：2018年3月13日 10時
