前日のまじない ページ21
「後はこれで……よし、完成」
「凄いですね〜!」
完成した料理達をテーブルに並べ、指についたピザソースを舐めながらエプロンの結びを解く。
それから飲み物や取り皿を支配人と揃えていれば、丁度いいタイミングで稽古を終えた皆が談話室にやってきた。
「うわぁ!美味しそうですね!」
「ごちそうダヨ〜!」
料理を見て、途端に目を輝かせる咲也達。
まぁここにある料理は春組全員の好物だし、むしろ喜んでくれなきゃ困る。
「やけに豪勢じゃん。キタコレ」
「私とA君の力作ですから!」
「支配人は主に味見役でしたけどね。冷めないうちにどうぞ」
それぞれ席につき、全員で手を合わせる。
とは言っても待ちきれなかったみたいで、挨拶した直後に皆食べだしてたけど。
「Aさん!このナポリタンもすっごく美味しいです!」
「……生春巻きも美味い」
「家で宅配レベルのピザとか……革命かよ」
……そんな褒められるとにやけるのでやめて下さい皆様方。
「ほんと、Aくんの料理はどれも美味しいね!」
この通り監督さんも美味しそうに食べてくれてるけど、カレーは時間的に作れなかったからな。
そもそも監督さんの作るカレーには適わないだろうし。
そう言ったら監督さん凄い嬉しそうだった。隣の真澄には睨まれたけども。
その後あっという間に料理はなくなり、それぞれが満足そうな表情を浮かべる。
(……良かった)
今日の最終通しが微妙だったし、本番前日というのもあって緊張してるのかと思ったけど。
皆思っていたよりも平気そうで安心した。
内心ほっとしながら食後のコーヒーを飲んでいると、不思議そうに俺を見る咲也。
どうしたのか聞くと、慌てて首を振る。
「い、いえ!その、どうして今日こんなにご馳走だったのかなーって」
まだ本番前日なのに。
控えめに聞いてくる咲也を見て、俺は手元のコーヒーを見ながらカップを小さく動かした。
「……まじないって言うのかな」
「まじない、ですか?」
聞き返され、小さく頷く。
「そ。俺はこういう本番とか勝負事の前日は、ひたすら好きな物食って明日に備える!そんで当日死ぬ気でやり切る!って教わったからさ」
そんで全部終わった後、また皆で好物囲んで打ち上げをする。
これが我が劇団の恒例行事だった。
「俺はこういう形でしか援護してやれないけど、少しでも何か出来ないかと思って」
皆、本番頑張って下さいね。
そんな俺の言葉に対し、返ってきたのはいい返事の数々だった。
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祐(プロフ) - こずめさん» お返事遅くなりました!(名前変わっててすみません)もう文章からこの作品を好いてくれてるのが凄く伝わってきます私も貴方様が好きですありがとうございます。夏組編もよろしくお願いします! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました!本当ですか!?みかさんのA3!との出会いに関われたなんて嬉しいです!この作品書いてて良かったです・゚・(つД`)・゚・ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - イオリさん» お返事遅くなりました!そう言って貰えて凄く嬉しいですヽ( ´ ▽ ` )ノ私も夏組大好きです! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 翔香さん» コメントありがとうございます!大変お待たせ致しました!またこれからゆっくりではありますが続ける所存ですのでよろしくお願いしますヽ( ´ ▽ ` )ノ (2018年7月19日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - Lilyさん» コメントありがとうございます!初期の頃からずっと支援してくださっていたなんて嬉しい限りですヽ( ´ ▽ ` )一応冬まで続ける所存ですので、これからも読んでやってくださいませ\( 'ω')/バッ (2018年7月19日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年3月13日 10時