卵 ページ14
夕方、いつも通りバイトと買い物を終えて帰った俺を綴が迎えてくれた。
「……うわ、凄い量っすね?」
「卵が安売りしててさ。周りの主婦さんも手伝ってくれて」
テーブルの上に大袋を乗せ、綴の手を借りて冷蔵庫に詰め込んでいく。
いつの間に主婦さん達と仲良く……なんて言われたけど、俺こう見えてシトロンさんくらいおば様達と仲良いからさ。
「そういや、焼き菓子作っといたんだけど食う?」
コーヒーに合うぞと付け足せば、綴からはいい返事が返ってきた。
お盆にコーヒー二つと焼き菓子を乗せ、俺と綴は向き合う形でソファーに座る。
「あー、やっぱAさんといると落ち着く……」
「うわマジで?超嬉しい」
一緒にいて落ち着くとかさ、言われるとかなり嬉しいよね。あの無言でも気まずくならない関係?そういう人って本当に重宝すべきだと思う。
「俺も綴といるの楽で好きだぞ」
「……そうっすか。ありがとうございます」
ここで照れるのがまた可愛らしいんだこいつは。咲也が息子なら綴は弟に欲しい。出来る弟最高。
そこに学校から帰ってきた咲也も加わり、最高にほのぼのとしたお茶会が始まる。
咲也が言うには、真澄はすぐに部屋に向かったらしい。
「学校でもいつもより上の空で……」
「朝もなんかおかしかったもんな」
「おかげで監督さんまで落ち込んでたし」
沈黙の後、次いで三人からこぼれるため息。
あいつマジで監督さん絡むとポンコツサイコになるからな。よく言えば本能に忠実だけども。
どこぞのポンコツ天然役者よりよっぽどタチが悪い。
「あ、真澄くん!」
「真澄も菓子食う?」
「……今はいい」
談話室に顔を出した真澄は明らかに元気がなくて、まさにどうすればいいか分からないって感じが滲み出ている。
そのまま特に何も言う事なく、俺の隣に腰を下ろす真澄。心を開かれてるんだか開かれてないんだかいまいちよく分からない。
「んで、なんで朝から監督さんだけ避けてんの?」
俺大まかにしか本編覚えてないから、この後の展開は知ってても原因までは覚えてないんだよ。
どう聞き出すか考えてると、談話室に監督さんが現れる。
同時に、俺の隣であからさまに驚いている真澄が。
「真澄くん、ちょっと話さない?」
「……」
黙り込む真澄に、見かねた綴がため息を吐く。
……あれ、なんか嫌な予感が。
「確か、卵が足りないんですよねAさん!」
「あ……うん」
綴。お前がさっき冷蔵庫に詰めてた物は一体何だったんだよ。
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祐(プロフ) - こずめさん» お返事遅くなりました!(名前変わっててすみません)もう文章からこの作品を好いてくれてるのが凄く伝わってきます私も貴方様が好きですありがとうございます。夏組編もよろしくお願いします! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - みかさん» お返事遅くなりました!本当ですか!?みかさんのA3!との出会いに関われたなんて嬉しいです!この作品書いてて良かったです・゚・(つД`)・゚・ (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - イオリさん» お返事遅くなりました!そう言って貰えて凄く嬉しいですヽ( ´ ▽ ` )ノ私も夏組大好きです! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 翔香さん» コメントありがとうございます!大変お待たせ致しました!またこれからゆっくりではありますが続ける所存ですのでよろしくお願いしますヽ( ´ ▽ ` )ノ (2018年7月19日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - Lilyさん» コメントありがとうございます!初期の頃からずっと支援してくださっていたなんて嬉しい限りですヽ( ´ ▽ ` )一応冬まで続ける所存ですので、これからも読んでやってくださいませ\( 'ω')/バッ (2018年7月19日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年3月13日 10時