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託された想い ページ18

いづみside

一瞬、何を言われたのか分からなかった。
嘘だと思いたくて聞き返したけど、やっぱり聞き間違いなんかじゃなくて。

「俺、劇団やめるね」

短いけど芯のあるその一言が、バルコニーと私の心に静かに響く。

「ーーー俺だけ場違いな気がしたんだよね」

至さんは顔色を変える事無く淡々としているけど、その目にはどこかまだ「迷い」があるような気がして。

「待ってください!!」

気づけば声を荒げていた。

だって私は知ってるもの。
皆と、Aくんといる時の至さんが、ちゃんと心から笑えてる事を。

「皆と舞台に立つ事なんて、どうでもいいんですか?」

「……」

「違いますよね。少なくとも私の目には、本気で稽古や専用メニューをこなそうとする至さんが映ってました」

付き合いはまだまだ浅いけど、これでも私は監督だから。

「朝練に出たりしてくれたじゃないですか。Aくんや皆と話してる時は、ありのままの至さんでいられたんじゃないんですか?」

私の必死な問いかけに、至さんは目線を床に落としながらも自分の気持ちを話してくれる。

頑張ろうと思い始めていた事、人と深く関わるのが苦手な事。

「所詮はゲームしか脳のない男なんだよ、俺は。このまま続けて、いい加減な所でやめたらそれこそ皆に迷惑がかかる。特に……」

そう言って、手に少しだけ力を込める至さん。きっと思い出してるのはあの人だろうな。

「特にAには世話になりっぱなしだから。あいつの好きな舞台を、俺の手で失望させるような事はしたくない。だからそうなる前にやめる」

「至さん……」

私達と出会う前から、Aくんとは仲がよかったんだもんね。
ちゃんと考えた上で、こうして私に話してくれてるんだ。

「Aくんには、言ってあるんですよね?」

「うん。さっき話した」

「その時はなんて?」

純粋に、こういう時彼がどんな言葉をかけるのか気になった。怒ったのか、それとも悲しい顔をしたのか。

けど、至さんから聞いた彼の言葉は私の想像を遥かに越えていて。

(その言い方はずるいなぁ……)

私が至さんな訳でも無いのに、素直にそう思った。怒るよりも止めるよりも、何よりも至さん自身に響く言葉。

きっと、私や咲也くん達なら止めてくれるだろうと信じて、あえて自分の気持ちをぶつけたんだろう。

なら私は私なりに、Aくんの意思を受け継ぐだけだ。

「ーーーもう少し、待ってみてくれませんか」

絶対に、至さんを辞めさせたりなんてしない。

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作品ジャンル:アニメ
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夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花(プロフ) - Syuさん» いえいえ! なるほど……あの二人の会話がすごく可愛くて癒されましたwはい!応援させてもらいます! (2018年3月21日 0時) (レス) id: f2643ccfd4 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - rin_arsmateさん» 申し訳ございません。早急に編集致しました。ご指摘ありがとうございます (2018年3月12日 22時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
rin_arsmate(プロフ) - 偽善者が犠牲者になっています。 (2018年3月12日 22時) (レス) id: 4f08260cf0 (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花さん» ご指摘して頂いた上に感想まで……!ありがとうございます!三角は凄く作りやすくて楽しいです。これからも頑張らせていただきますね (2018年3月12日 17時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花(プロフ) - Syuさん» いえいえ!あ、それと、凄く面白い作品ですね!!!本編を知っているからこそ不安にもなるし、支えていきたいのも舞台に立つのが怖くとも演技をやりたいって気持ちも凄く伝わってきて…めちゃめちゃ感動しました!個人的に綴と三角とのシーンがお気に入りですw (2018年3月12日 3時) (レス) id: f2643ccfd4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年3月4日 17時

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