【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました２【男主】

いい流れ ページ42

咲也と真澄が殺陣の練習をしている間、俺はシトロンさんと日本語の勉強をしていた。

とは言っても、

｢笑う門には何とか来る。はい、ここに入る文字は？｣

｢ワカタヨ！答えはフグネ！｣

｢なんでフグ来るんですか。はいバツ｣

この通り、一向にマルはつかない訳だが。
さっきから惜しい間違いばっかしていて、なかなかすっきりとした答えを出してくれない。

オー！と悲しそうな声を上げるシトロンさんを無視し、赤ペンででかくバツを付ける俺。

｢犬も歩けば？｣

｢ボブにアタルヨ！｣

誰だよボブ。バツ。

｢石の上にも？｣

｢七五年ネ！｣

長ぇわ！バツ！

何か、他にシトロンさんが答えられそうな問題。

………………。

｢至さんがゲーム内で最近愛用してる銃の名前は？｣

｢ルガーP-08。品位のある形からマニアの間では高値で取引されてるネ。通称はシャクトリムシヨ｣

……合ってるんだよなぁ。
確かに合ってるんだけどなぁ……どうしてこういうのばっか流暢に喋れんのかなぁこの人。

｢わざとやってます？｣

｢我が国のジョーシキネ｣

どうだか。
あのゲームが常識として認定されてる国とかやばいなんてもんじゃないぞ。

ちっ、こうなったら何としても答えられないゲーム問題出してやる！

手に書かれたマルを見て嬉しそうなシトロンさんに謎の対抗意識を燃やしていると、背後から驚く監督さん達の声が。

｢真澄くんが咲也くんに教えてるの！？｣

俺達がこんなにも虚しい戦いをしている間に、朝練の時間になっていたらしい。熱心に殺陣に励む二人を横目に、俺とシトロンさんの元へ綴と至さんが寄ってくる。

｢何、昨日特殊イベントでもあったの？フラグ立ったとか？｣

｢まぁかなり特殊と言いますか……｣

｢真澄がデレたヨ！今日は赤飯ネ！｣

｢マジか｣

｢二人ともいい感じじゃん｣

まぁ昨日俺は夕飯三角のおにぎり位しか作れてないし、どうせカレーだろうから赤飯は絶対無理だな。普通に合わない。

｢おいA、詳細よろ｣

｢それが、適当にいじってたらまさかのボーナスステージ入っちゃって｣

｢ワタシ、隠し選択肢発見したネ！｣

｢キタコレ。攻略wikiに書いといて｣

｢そこ、オタク専門用語で話さない｣

群れ合う俺達を華麗にスルーし、これなら公演まで間に合うだろうと目星を立てる監督さん。

｢本当ですか！？｣

咲也が嬉しそうで俺も心底嬉しい。
真澄も監督さんに頼られて嬉しそうだ。

過去最高に良い雰囲気のまま、朝練が無事終わった。

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