【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました２【男主】

要求の真意 ページ29

綴の言う先輩がこれから見に来るという事で、俺達もMANKAI劇場へと向かう。

道中の話題は俺の先程の狂ってるとしか言いようのない提案の件で。

｢あれ見た後で頼むとかA正気かよ｣

｢気が狂ってる｣

｢Aさんはまともだと思ってたのに……｣

さっきからずっとこの調子である。
というかお前ら、支配人一人で俺の人間性まで否定するとは何事だ。

｢所でAさんの言ってたサイトって、何かするんですか？｣

唯一の良心咲也に聞かれ、俺は特に隠す事もなく頷く。

｢実は便利屋初めてみようと思って｣

｢｢便利屋！？｣｣

耳元で監督さんと綴の声が被り、あまりのうるささに思わず両耳を塞ぐ。

｢なんでまた｣

｢ホカホカご飯をおとどけネ〜！｣

それ弁当屋な。そこまで来るとわざとにしか聞こえないっつの。

｢いやー、短期バイトばかりだと自分で選ぶ分仕事の幅が広がらないんで、それならいっそお相手さんからお仕事の依頼でも貰えたらなーと｣

この辺り限定でやれば家政夫の仕事と両立出来ますしね。

そんないかにも呑気そうな俺に、途端に心配の色を見せ始める皆。まぁいきなりこんな事言い出したらそりゃ驚くわな。

｢そんな簡単に仕事って来るものなの？｣

｢一応家事とか出来る事は記載するつもりですけど……多分来ないんじゃないですかね｣

｢逆にそんな簡単に来たら俺が仕事辞めてる｣

まさに至さんの言う通りだ。

｢支配人のサイトって時点で仕事が来ない｣

｢だからいいんだよ。別に片手間にやれる範囲でやりたいだけだから｣

今頃支配人も熱心にパソコンと向き合っている事だろう。

あれはあれで目を惹くし、あそこまでセンス無いと一周回って誰かしら興味持つかなって。

至さんレベルの爽やかな笑顔で言う俺に、｢一番エグいのってAさんなんじゃ……｣と言いながら乾いた笑いをする綴。まぁ否定はしない。

流石に儲かりたかったらあんなの使わねぇよ、とは思ってても言わないぞ俺は。

｢大体そんな事しなくても俺がこき使ってやるのに｣

｢至さん色々注文が多すぎるんでパスで｣

｢ならワタシがこき使ってやるヨ〜！！｣

｢絶対パスで！！｣

だからなんでそういう所だけ合ってんだよあんたは！しかも俺にだけ毎度あたり強くない！？

｢まぁこの辺なら劇団系のお仕事の依頼とかも来そうだし、Aくん手先が器用だもんね｣

｢Aさん料理とかすっごく上手ですもんね！｣

はい癒し。監督さんと咲也が好きすぎて毎日本当にしんどい。

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