巻き込まれて本編 ページ12
「痛っ」
「すみません!目が回ってしまって……」
目の前で起こり始めた展開を見て、俺はぽかんと口を開いたまま固まっていた。
至さんに申し訳なさそうに謝るとてもよく知った顔を見つめ、そう言えばこの二人の出会いはこの時間帯だったかと考える。
というか至さんの為に部屋探してたけどこの人寮に入るんじゃん。え、俺なんでこんな必死に部屋探してたんだろ……
(って考えてる場合じゃない!)
まずいぞこれ。このままじゃ俺も入団することになって一週間カレー地獄の日々になってしまう。
いや無一文が何言ってんだって話だけど。
とにかく春組はこの五人でやってもらいたいしカレーそんなに食べ続けるの無理だし舞台にはもう立てそうにないし。
こう見えてあれかなりトラウマになったから。心臓ヒュンってなったから。これでもう一度舞台に立つなんて生まれたての小鹿同様足ぷるぷるだ。
(よし、早いとこ逃げよう)
みんなの事見守りたいし応援したいし介入したいけど、俺がいなくても幸せな未来は既に公式様が作ってくれている訳で。
むしろ俺が入った事で何か起きてもこっちが罪悪感で爆発する(物理的に)
まだ舞台には立てないだろうけど、舞台俳優としての時間と舞台そのものは大好きだから。
どこかいい資金稼ぎの場所探して、みんなの舞台はちゃんとチケット買って見に来るとしよう。
てことで。
「じゃ至さん。俺はこの辺で」
早くここから逃げないと監督がーーー
「すみません!大丈夫ですか!?」
「Oh……」
両手で顔を覆い天を見上げる。
間に合わんかった……。
「ソーリー。サクヤのミスはワタシのミスね」
ほらもう来ちゃった。なんかぞろぞろいっぱい来ちゃった!
「お気になさらず」
至さんも何だこいつらみたいな目してるじゃん。察してあげて……。
いや無理か。この雰囲気を察せられるのはボッチかゲーマーかオタクって相場が決まってるもんね。泣きそう。
そんな助けろって目で見ないで下さいよ至さん。俺がこういう時に助けてやれない男だって事はこの数時間で分かった筈でしょう。
至さんからの鋭い視線を交わしつつも逃げようとしたが、それよりも早く監督さんは手っ取り早く自己紹介を初め、段取り良く俺達を追い詰める爆弾を投下していく。
「今、団員募集中なんです!!」
そのあまりの必死さと訳を知っていて逃げられる程俺も薄情ではなく。
結局至さんに腕を掴まれ、逃げる事も叶わないまま、俺は監督の話を聞くことになるのだった。
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祐(プロフ) - 時雨さん» お返事が大変遅くなり申し訳ございません。もしよろしければどの話か教えて頂いてもよろしいでしょうか?分かり次第すぐに編集しようと思います┏○ペコ (2018年10月3日 14時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 役不足っていうのは自分には役目が軽過ぎで満足できないなんて言うときに使う言葉ですよ (2018年9月10日 14時) (レス) id: cf954cb7db (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 漣凪さん» ありがとうございます!今は面白いの一言が続ける気力になっております。むしろ妄想して貰えるなんて嬉しさで爆ぜそうです。頑張ります! (2018年3月3日 12時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
漣凪(プロフ) - とても面白かったです!ついつい自身でこの先の展開を妄想してしまいます(←変人)。更新頑張ってください (2018年3月3日 1時) (レス) id: 87e449a00b (このIDを非表示/違反報告)
Syu(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!文字数制限に毎度ひいひい言っておりますが頑張ります (2018年2月25日 21時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年2月23日 1時