【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました【男主】

不思議な男の子 ページ6

いづみside

五人は欲しいという私の希望で、綴君、咲也君、真澄君の三人がストリートACTを初めて少し。

駅や商店街など色々なところでやっては見るものの、未だに誰一人団員は増えていないのが現状だった。

(人だかりは出来てるけど、これってやっぱり、あんまりいい意味ではないだろうな……)

この際綴君みたいに宿無しの人を！と思って探してはいるけど、むしろ綴君自体レアなケースの方だろうし。

最後まで諦めるつもりはないけど、どうしても多少の不安がよぎってしまう。

(でも注目は集めてるし！！)

そう思っていたら、どこからか強い視線を感じた。

たどってみると、人だかりの中で一人ずば抜けて顔の整っている男性と目が合った。

ちょっと童顔な感じの柔らかい雰囲気で、真澄君とはまた違ったタイプのイケメン。

狙うなら、声をかけるなら今だと、私の指導者としての、役者としての感が言ってる。

｢ねぇ……っ！！｣

けどそれよりも早く、その人はこっちに背を向けて人混みの中に潜り込んでいく。

｢まっ｣

｢ダイコン、なるほどこれがジャパニーズダイコンネ｣

不意に違う方向から逆に声をかけられ、その人から別の声の方向に視線を変える。

それから少しして新入団員として加入することになった声の主であるシトロン君と、それを喜ぶ皆を微笑ましく見ながら、私はさっきの人のことをずっと考えていた。

(あの人……うちの劇団に来てくれないかな)

何故か分からないけど、この劇団を変えてくれる……そんな予感がした。

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