【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました【男主】

しんどい ページ4

街があることを信じて歩いている間、俺は一度自分について整理をしていた。

名前とかそういう類のものはさておき、まず俺は確実に死んでしまったと見て間違いはないと思う。

舞台から落ちたことは確かだし、あの気味の悪い感覚もまだしっかり残っている。
何より、

｢息苦しい……｣

衣装のままだ。幸いなことに丁度俺が衣装チェンジでスーツに着替えた後に事件が起きた訳だけど、これがもし王子や武将の役だったらと思うとゾッとする。

舞台の上じゃまだしも街中じゃきっつい。もちろん好きでやるならいいけども不本意は本当にきっつい。

最悪なことに財布も携帯もないと来た。はいおつ。

せめてどっちかあればまだ生命が保たれてたというのにさ……おかげで俺の｢財布とスマホあれば人間何でもできる｣説が見事に根本から砕かれたよ。もうここどこ……(三回目)

｢……しんど｣

ゲームもできない舞台も立てない。あるのはスーツと身体のみ。もうこれゲームオーバーじゃん。最初からクライマックスってこういうことを言うんだよ絶対。

歩いたおかげで街らしきものは見えてきたものの、今の俺にはとても喜ぶ元気はなかった。

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