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急いで駆け寄り駄菓子屋の現状を見渡す。
店主と思わしき夫婦がおどおどとし、客であろう女が数人とその側で子供が泣いたり戸惑ったりしている。その中で土間に蹲(うずくま)り喉を引っ掻く男の子がいる。
蘭丸「一体何があったんですか!」
子供を抱き抱え、まず店主を目線で指名する。
男店主「いや、俺にもよく…」
女店主「私が、出したお茶が不味かったのかしら…」
蘭丸「…お茶?駄菓子屋なのに、客に茶を出すんですか?」
女店主「いや、なにせ晴れているから…その子ら、ずっと外で遊んでたから、喉が渇いたろうと思って」
もう一度、今度は客の顔を一人一人眺める。変な様子がないかじっくり見廻す。
大人の客は女が三人だけ。子供は倒れた子を含め五人だ。
蘭丸「…あなた達は、この子達の母親ですか?」
客の姉「まあ、そうね。私の妹と、隣の醤油屋の娘さん。」
客の妹「(コクコク)」
醤油屋の娘「あの、あなたは一体どなたなの?」
しまった。この格好で出しゃばりすぎた。ここで正体を晒すべきか一瞬迷った。
「彼は見たまま、商人だよ。」
蘭丸「!?」
本日二度目の絶句。いつの間にやら店の入口に、見慣れた情報屋と役人と思わしき二人、そしてAがいた。
「いい所だよって言いたかったのに、さっきの今で事件起きちゃうなんて神様も意地悪ね。」
蘭丸だということに全く気づいてない様子で、こちらに目くばせする。
「その子をこちらに。この人、医者としても優秀なのよ。ひどくなる前に喉を見せた方がいいわ」
蘭丸「お願い、します」
情報屋がこちらに近寄り、子供を抱える際に 蘭丸に小声で囁く。
情報屋「…犯人は右の女です。指名手配犯ですので気をつけて。」
蘭丸「…!」
バレぬようにと俯きかけていた顔を咄嗟に上げてしまった。彼は(大丈夫、黙っとくから)と流し目で伝えるとすぐに引き下がり、店の外へ出た。
「さあてと。…もう逃げないでね、オネエサン?」
困惑する数名の中、右の女と称された_醤油屋の娘の頬がヒクついた。
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ねむいたぴおかは僕“ねむたぴ“(プロフ) - わ、私がまだ小説を書いてない時に見た憧れの小説だ…!めっちゃ面白いです!是非是非続編でも頑張ってください!! (2018年7月27日 7時) (レス) id: 9d49224d89 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 夜月ライ→みなみさん» 夜月さん!今続編の方で【オリジナルフラグをはずしてください】というのありましたよ!早くはずさないと違法報告(?)されてしまいますよ!? (2018年7月25日 12時) (レス) id: caab18a589 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 総合時間事業会社代表取締役社長専属秘書さん» 返信遅くなりました、すみません。コメントありがとうございます!!応援ありがとうございます!この作品や、ゲームを通じてもっと作品が増えることを私も期待してます!続編行きましたので、そちらにもお付き合い頂きたいです! (2018年7月25日 10時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 名無しさんさん» 返信遅くなりました、すみません。コメントありがとうございます!!続編行きましたので、そちらの方もお願いします!! (2018年7月25日 10時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 。さん» コメント返信遅くなりました、すみません。リクエストありがとうございます!!続編の方で優先して書かせていただきます。更新をお待ちください (2018年7月25日 10時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 来-ヤヅキ ライ- | 作成日時:2018年1月1日 20時