【毛利元就】君との間に、障害なんてつくらせない。 ページ11
「いや、来ないでください…!」
厄魔「グルルルル!!!」
「ひっ!!だ、誰か…!!」
山菜摘みに行った母と妹の帰りを待っていただけなのに、編み物をしていただけなのに。
この時ほど、自分の脚について恨んだことは無い。
「私だって人狼なのに…脚が自由に動かせるなら、戦えるのに…!」
生まれつきの病で、足はあるものの自分の意思で歩いたり走ったりなどできなかった。
それで、二人の家族や村の人の助けを借りながら一日ずつ生きてきた。
厄魔「グアアアアアア!!!」
「っ来るんじゃない!元いたところに帰れ!!」
咄嗟に、囲炉裏の火かき棒を手にして厄魔に向ける。厄魔は怯むことなく、間合いを縮めてくる
村のみんなは、母は、妹は?大丈夫だったのだろうか。村に来たのは、こいつだけだろうか。私はなぜ、ここにいるのだろうか。もしかして、見捨てられ_
厄魔「グアアアアアア!!!」
厄魔が飛びかかる。しかしAの意識はもはやここにない。
ああ、喰われるのか。ろくに孝行もできなかった。妹に構ってやれなかった。村の人に恩返しをしきれなかった。
悔やむことが多すぎた。もう目の前には厄魔がいた。右手を振り上げ、切り裂こうとしている。
??「はあああああっ!!!」
ザシュッ
厄魔「ギアアアアアア!」
??「間に合ってよかった。大丈夫かい!」
「は、はい。あの、どうして…?」
確か、この領地の総大将だったはず。こんな末端の村までわざわざ何の為に?と聞いたつもりだった。
元就「話は少し後でしよう。まずはここを離れてくれるかい」
「_ああ、お手間かけますので私はお気になさらないでください…何なら、厄魔に喰わせて構いません」
とうの昔から決めている。自分のために、誰かの身を危険に晒すことはしない、と。
そして、村の人が助かるためであるなら私は囮にだって、生贄にだってなる所存だ。
元就「…君をそんなにしてしまった元凶はなんなんだろうね。」
「この足は生まれつきです。文字どおり這いつくばって生きることしか出来ない私を、ここまで母は妹と普通に育ててくれました。それだけで、もう十分です。」
元就「いや、これは幼い時になにかしら外傷を受けた痕跡があるよ。今まで何も思わなかったのかい?」
「え…」
元就が、Aの脚にそっと触れる。すこしくすぐったいような気がした。
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ねむいたぴおかは僕“ねむたぴ“(プロフ) - わ、私がまだ小説を書いてない時に見た憧れの小説だ…!めっちゃ面白いです!是非是非続編でも頑張ってください!! (2018年7月27日 7時) (レス) id: 9d49224d89 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 夜月ライ→みなみさん» 夜月さん!今続編の方で【オリジナルフラグをはずしてください】というのありましたよ!早くはずさないと違法報告(?)されてしまいますよ!? (2018年7月25日 12時) (レス) id: caab18a589 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 総合時間事業会社代表取締役社長専属秘書さん» 返信遅くなりました、すみません。コメントありがとうございます!!応援ありがとうございます!この作品や、ゲームを通じてもっと作品が増えることを私も期待してます!続編行きましたので、そちらにもお付き合い頂きたいです! (2018年7月25日 10時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 名無しさんさん» 返信遅くなりました、すみません。コメントありがとうございます!!続編行きましたので、そちらの方もお願いします!! (2018年7月25日 10時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 。さん» コメント返信遅くなりました、すみません。リクエストありがとうございます!!続編の方で優先して書かせていただきます。更新をお待ちください (2018年7月25日 10時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月 来-ヤヅキ ライ- | 作成日時:2018年1月1日 20時