7 ページ7
襖を開けて一歩、左右を確認して一歩、振り返ってみて一歩。ちまちまと詮索して、やっと行燈がついている部屋を見つけた。
耳を近づけてみる。外の世界の怒号と混じり、時折、筆を滑らせる音や紙をめくる音が聞こえる。音をたてぬよう慎重に、襖に隙間をつくる。
中にいたのは、昼間見かけた人狼兄弟ではなく、目の細いヤツだった。
まだ面と向かって話したことのない人と話すのはさすがに気が引けた。諦めて部屋に戻ろうとした時＿
ｶﾀｯ
尻尾が襖に当たってしまい、部屋の彼に気づかれた。
？？｢…誰？信之？｣
じっとこちらを見つめる。返事をしないこちらに、彼は腰をあげる。
サッと襖を開けて、こちらを見下ろした。
？？｢っわ！え、子供…？！｣
｢あ、えと…｣
思いがけない来客に、彼は目を丸くした。Aも音を立ててから四つん這いで逃げる格好のままである。
なんとも奇妙な光景。変な間があき、微妙な空気が流れる。先に耐えきれなくなったのは、彼だった。
？？｢えっと…とりあえず、入る？｣
空気を変えてくれた彼にめっちゃ感謝した。こくこくとかぶりをふり、部屋に通してもらう。
覗き込んだよりも多くの本や地図が散乱…していた。
昌豊｢ごめんね、招き入れといてなんだけど、すごく散らかってる。あ、僕 内藤昌豊っていうんだ。君は？｣
｢…A、です…｣
人見知りの発揮どころ。名乗るだけで声が小さくなっていく。
昌豊｢A、ね。そんな縮こまらないで。そうだ、たしかこの辺に…｣
ガサゴソと、机に備え付けられた小さな引き出しを開けると、中から飴玉やおはじき お手玉などが出てきた。
｢わぁ…！｣
昌豊｢よかった、女の子でもこういうの好きなんだね｣
Aはお手玉を手に取ると、得意げに片手で回して見せた。
昌豊｢すごい、上手だね。｣
｢…3個までなら右手でできるよ、左はまだ練習してるけど｣
昌豊｢それでもすごいよ。ねえ、やってみせて。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こむ - もう更新はしないんですか、、、、 (2020年12月11日 17時) (
レス) id: 1f65b2d6f9 (このIDを非表示/違反報告)
柊夜蝶(プロフ) - とっても面白かったです!更新頑張ってください!応援してます (2020年3月4日 17時) (レス) id: 0d3412a237 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 鈴蘭さん» 閲覧ありがとうございます！信春さん押し！？私もです！！まだ全然出てないけど、登場まで少しお待ちください…！！ (2018年5月27日 9時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - ゆーゆさん» コメントありがとうございます！昌豊さん推しですか！可愛いですよね！！まだまだ主ちゃんと遊んでもらうので見ててください！ (2018年5月27日 9時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ライ→みなみ(プロフ) - 理衣さん» ありがとうございます！亀更新で申し訳ないですが、飽きずに見ていただけると嬉しいです！ (2018年5月27日 9時) (レス) id: 7df48d7d67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みなみ | 作成日時：2018年1月15日 8時
