ダチュラの花 (ページ21)

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『…何でもないよ。』

将「何ともないわけないでしょ?…そんなに泣いてるのに。」

将吾くんが指で私の涙を拭いとる。

…あったかい。子供体温だ。

『…あったとしても将吾くんには関係ないから。』

将「そんなこと…」

『放っておいてよ!!!!!!!!』

将吾くんのびっくりした様な顔を見てやらかした、と思った。

人にこんな声を荒らげるなんてこと今までした事なかったのに……

『もぅ…ほんとに嫌………』

また涙が込み上げてくる。私ってこんなに泣く子だったっけ。

こんなに泣いたのは小学生以来かも。

将「…Aちゃん。」

『…なに。』

将「俺はAちゃんのこと全然知らない。過去に嫌なことがあったのかも、今のAちゃんのことも。」

将「自分で抱え込もうとしてるでしょ…?辛いことも悲しいことも。」

将「俺に少しだけでも…吐き出してみなよ。」

なんでそんなに優しいことを言うの。なんで私の心を揺さぶるようなことを言うの。

『……私ね、お父さんがいないの。浮気して出てったから。』

何を話そうとしているの。隠し通すって…隠し通すって言ってたじゃない。

だけど止めれない。将吾くんが聞いてくれるから。

『…私は空っぽなの。何も感じないし思わない。利益のために働くだけの人形。』

それを言ったは将吾くんは少しだけ目を見開いた。

まぁこれが普通の反応だ。

将「…Aちゃんは人形なんかじゃないよ。」

『は…?どういうこと…??』

将「ダンス部のマネージャーをしてくれたのはどっちなの?利益のため?それとも自分の意思…??」

…………あぁそういうこと。

『……利益…のためだよ。』

『こんなくだらない過去話聞いてくれてありがと。練習に戻ろ。』

将「あっ……」

足早に部屋から退出する。

将吾くん。私の吐き出したものを聞いてくれてありがとう。

ただそれだけ思った。

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