3話 ページ5
side you
『アノーーーショッピサン、、、』
syp「、、なんすか」
『なんすかじゃねーよおめぇよぉ、、、』
見たまえよこの女子、女子、女子から向けられる視線の数を。
殺意やら憎悪やらが私に向けられてショッピに向けられる敬愛、尊敬、好意、、、様々なそれらの感情は混ざりあってヘドロみたいだ、はは。
いや笑い事ではなくて、するり、と手をほんのりと離そうとする。
然しここで手を離そうものなら、、、
syp「、、、A、、?」
ヒュ、と微かに上がる呼吸。
どんどん真っ青になっていく顔色、対称的に手は、強く強く握られて折れてしまいそうなほど。
なのに周りは気が付かない。ショッピの目線は私一人に向いているから。
仕方ない、なんて彼の手を引いて校内へ。
保健室へと乗り込めばごめんごめん、なんて言うように頭を撫でてやって。
『流石の私でも女子の視線の的にはなりたくないよ、ショッピ、、』
何度告げたであろう言葉だって彼は決まって同じ言葉を返してくるから。
syp「そんなん、知らん、、っ!俺にはAしかおらんもん、Aやって、そうやろ、、?」
すがりついてくる彼の揺れる瞳。
幼い頃は綺麗に輝いていたのに今ではどろりと濁って居るようにさえ見えて。
結局突き放せない私も、私なんだろうな。
『、、さぁね。落ち着いた?』
syp「、、落ち着いた」
じゃあ教室行こ、と困ったように笑えばショッピは軽く俯いて、後から行く、と言うからわかった、そう返して保健室を出て行く。
、、何を考えているのか分からない。
分かるのは明確な、身を蝕むほどに向けられた好意だけで。
はぁ、と吐いた溜息は誰に聞かれることも無く空気中へと溶けていった。
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作者名:黒猫静 | 作成日時:2024年1月15日 23時