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「ごめんね、仁真ちゃん。来て早速こんなの………」
「いえいえ、家事なら慣れっこですから」
「そっか、なら良かった。確かに手際いいよね」
「はい。うち父子家庭だったので」
「あ、そうなんだ」
何も発展のない会話がダラダラと続いていく。
私と見習いは手を動かし、食器やらコップやらなんやらを洗っていた。
他の子達はというと、酔いつぶれていたり、まだチビチビと飲んでいたり。短刀達は既に兄ズに促され寝ていた。
姉もまだ飲んでいる。今日ぐらいは大目に見よう。宴会なんて久々だし。
「仁真ちゃんもう良いよ、ありがとうね」
「え、あの、でも」
「いいから。明日起きた人達に残りはやってもらえばいいし」
「はあ」
「持ちつ持たれつってこと」
「その言葉、そう使うものですか?」
「違うっけ?」
「違いますよ、多分」
そう言うと彼女は微笑んだ。柔らかい笑みで、おとなっぽい人なのだろうと思った。こんな笑みの出来る人になりたいよ。
私いっつも表情変わらないし。
厨を後にして、仁真ちゃんと別れ自室へ戻ろうと廊下を行く。
すると途中で、声が聞こえた。なんの話をしているのだろうか。耳をすませば聞いてみる事に。
「………まあな、見習いはとてもいい雰囲気の
「乗っ取りを一応警戒しておけとの事でしたが、大丈夫かと思われますね」
「そう思うことが一番危ういのであろう」
「左様ですね」
この声、多分三日月と小狐かな………
二人で優雅に月見酒でもしてるのかしら。
「…………何があっても守らねばな」
「ですね」
「俺達の大切な人、なのだから」
「三日月の場合、それだけでは無いでしょう?」
「と、いうと」
「お慕いしているのでは無いのですか?」
「……………お主にはバレてしまったか」
「当たり前です。三日月のあの方を見ている目はそれ以外に何があると。今日も用もないのに審神者部屋へ行かれたでしょう?」
「用が無かった訳では無い、話をしたかっただけだ」
「それで?成果は」
「………ははは」
「誤魔化しているようですが、桜が散っていますよ」
ビッグニュースを聞いた。
三日月、そうだったんだ。多分ふみの事、だよね。何かあると審神者部屋へ来て書類の手伝いしてくれるし、よくふみと何か二人きりで楽しそうに話しているし。
そう、だったんだ。
応援したいけど、なんでこんなに、胸が苦しいんだろう。
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名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時