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あれからというもの、私は獅子王くんと放課後一緒に帰るようになった。
と言うよりかは
「Aちゃん、帰ろ」
「う、ん?」
獅子王くんが毎回昇降口にて待機してくれるようになった。
同じクラスなのだからクラスで待っていればいいのに、と言ったのだが「まーなんでもいいじゃん?」とか言われてはぐらかされた。
なんでもいいわけ無いんだけど。
だからなのかは知らないが最近、三日月さんに会わない。
恐らく校門のところで待ってくれているはずなのだが、獅子王くんが壁になり、更に人混みの為見えないのだろう。
若しくは本当に校門の所で待たなくなったか。
有難いような、寂しいような。
………………何故寂しいと思った、私。
「────ちゃん、Aちゃん?」
「え、」
「あ、もしかして意識飛ばしてた?」
「うん。何も聞いてなかった………獅子王くん何か話しかけてくれてたの?」
「一応」
「ごめん」
「いいって、他愛のない話だから」
彼はそう言うとどこか嬉しそうに口を隠した。
?なにか私した?
暫く無言で歩いていくと、我が家が見えた。
「いつも、ありがと」
「いいや、じゃあね」
「うん、また明日」
彼に軽く手を振る。私はくるりと前を向き、フェンスに手をかけた。
* *
「ただいまー」
「おかえり」
母が私を出迎える。手を洗いに風呂場へと行き、その後制服から私服に着替えるため自室へ上がった。
二階にあるため、階段をのぼる。
廊下の突き当りにある部屋。そこが私の部屋。ドアノブに手をかけて、扉を引いた。
「はぁ〜…………ただいま」
「おかえり」
「うん」
私は帰ってきた声に返事をし、そのままベッドへ飛び込む。着替えようと思ったが、やはりベッド。こいつの魅力には負けてしまった。
ボフン、と音をたててそのまま突っ伏す。ふかふか、最高。
今日も疲れた。
……………………。
………………………………ん?
私今、「ただいま」って言ったら「おかえり」って声が帰ってきたんだよね。
私の部屋には誰もいないはず。兄も父も外にいて、母は下にて夕飯の支度。
それにあの声。落ち着きのある、聞き覚えのある声。
私は枕から顔を上げる。
「おお、やっと気づいたか。おかえり、A」
ちょっとまて、なんでお前が居座ってる三日月宗近。
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名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時